logo

これは、私たちの頭の中から、技術や知識、芸術や価値観を言葉で編み出すブログです。

お問合せはこちら
メニュー
2025.09.19

7年ぶりのニューヨーク展示会-今回の挑戦で得られたもの

7年ぶりのニューヨーク展示会-今回の挑戦で得られたもの

こんにちは!広報担当の河野です。

今回は、芸術領域「ichirin」の活動についてご報告させてください。

ニューヨーク・チェルシーの展示会に出展!

2025年7月22日~26日まで、ニューヨーク・チェルシーで開催された展示会「JAPANISM」に、作品を出展しました!

「JAPANISM」は、ニューヨークを拠点に活動する日本人現代アーティスト集団:JCAT NYが毎年主催している展示会なのですが、ichirinが出展するのは2回目。7年ぶりでした。

--浦川は「JCAT NY」のメンバーでもあるのですが、この出会いについてはまた別の機会にご紹介させていただきますね。

今回の出展に至った経緯

なぜ7年ぶりにニューヨークへ出展することになったのか

実はこの少し前、4月にドバイで開催されたアートフェア「ワールド・アート・ドバイ」に、JCATとして参加。
「ブースに来られた方に一番見られていた作品」という、非常に嬉しいご報告を受けたのです。

これは他の国の方の反応も見てみたいぞ。

ということで、ニューヨークへの参加も決めました。

もう一つ、このドバイのアートフェアへの出展をきっかけに、新作が生まれたことも関係しています。

これまで、ichirinの作品は蕾から朽ち果てるまでの一輪の花を定点観測し、それを紙やキャンバスにプリントして完成していたのですが、新しい作品にはさらに装飾を加えました。

新作:Ambiguousシリーズ

「Ambiguous」
“個の際立ちに潜む 曖昧”。

見る角度や距離で印象を変えるガラスの粒をあしらい、
言葉にしきれない感情や、心のゆらぎを映し出そうとする作品たちです。

[Ambiguous Construct]

曖昧な概念・認識の枠組み。

人間の認識や社会的な概念を作り上げるもの(構築物・枠組み)を指す。「固定されたものではなく、流動的で不確かな概念」や「解釈の余地がある構造」が存在。

社会・文化的に解釈し、揺らぐ価値観や制度と捉えると、普遍的なものが実際には流動的であることを示唆する。

変化し続けるもの(物理的な形・価値観・現実)や確固たるものと思われていたコトが、実は曖昧なもの(社会制度、歴史、アイデンティティ)や多面的な解釈が可能なもの(見る人によって異なる意味を持つ)ということを表現している。

[Ambiguous Bubble]

不確かな状況や環境において、外界から隔絶された独自の思考や認識の世界を指す。

物理的な形としての曖昧さ(変化する形、掴めないもの)

社会的・経済的な象徴(幻想、成功の儚さ)

精神的・認知的な揺らぎ(現実と虚構の境界の曖昧さ)

生命や時間の儚さ(消えゆく存在、一瞬の輝き)

[Ambiguous Gestation]

何かが生まれようとしているが、まだ完成には至らない状態を象徴。その形成過程が予測不可能であり、形を持たないまま流動的に変化している。

そして、生命の曖昧さ・存在の不確実性として「胎動」という言葉が持つ「生命の兆し」を前提に、存在がまだ不確実な状態で揺れ動いている哲学的なテーマにつなげている。

たとえば、生命の始まりとは一体どこからなのか? 意識や存在はどの段階で確定するのか?

という問い。

形成の過程を超えて、進化や変異の可能性を含んでいる。

そのため、単なる未完成ではなく、未来がどのように発展するのか予測できない状態を指す。

[Ambiguous Scar]

静かな見た目とは裏腹な荒々しく刻みつけられた深い痕跡。

傷つくことでしか生まれ得なかった輪郭は単なる癒しとは無縁であり、撫でることすらためらわれるほど鋭い。

むき出しになった断絶と痛みの記憶。

この傷は、優しさや慰めを求めない。

むしろ、生々しい衝動や、抑えきれない暴力の余韻を静かに突きつける。

心の奥底に沈めたはずの不安や怒り、拒絶の感覚を呼び覚ますかもしれない。

けれど同時に、それらはすべて、存在の確かな証でもある。

壊され、傷つきながらも、それでもなお立ち続けるもの。

曖昧な痛みをまといながら、抗いようのない生を刻み続ける意思を映し出す。


ニューヨーカーの反応

展示会には、Ambiguousシリーズの中から3作品を出展させていただきました。

ペタペタと貼られたポストイットには、こんなお声が書いてあります。

NYポスト記者の方:
これがベストだ。生と死は巡るものであり、本質的に違いはない。

NY在住アーティストの方:
自分はいまここにいると思った。
左でも右でもなく、この真ん中にいるということ、まさに自分の「現在」である。

日本旅行を終えたばかりの学生:
とにかくビーズをつけているのが素敵。綺麗。

学生:
なぜキラキラさせているのか。
なぜそれぞれに違うガラスをつけているのか?
それに意味があるのか。

学生:
バラが好き!
こんなに形が変わるのか?
花びらが落ちているのが美しい。

職業不明:
すべて同じバラであることに驚いている。
ただ、それを説明してもらうまで分からなかった。
長く見ていると理解できてくる

出展を終えて。-今後の展望

ニューヨークでの出展を通じて、多くの方に「ichirin」の世界観を受け取っていただけたことは、私たちの大きな励みになりました。

この先、世界へと広がる道のりに、どんな出会いや発見があるのか。

ワクワクしてきます!

ここからさらに挑戦を広げていきますので、ぜひこれからも見守っていただければ嬉しいです。

▼新作:Ambiguousシリーズについては、Instagramで発信中です
https://www.instagram.com/ichirin

この記事の著者

河野 尋美

河野 尋美 KONO Hiromi

株式会社 もずくとおはぎ PR Manager

どんな場所にもすっとなじみ、場の空気をやわらかく整える。
多様なプロジェクトを渡り歩き、言葉にならないニュアンスをすくい上げ、カタチにする感覚は抜群。

人と人の間に立つことが自然で、気づけばつながりの中心に彼女がいる。

PRという役割に、静かな熱としなやかな視点を添えて、今日も組織の”らしさ”を社会へ届けている。

HOMEに戻る