logo

これは、私たちの頭の中から、技術や知識、芸術や価値観を言葉で編み出すブログです。

お問合せはこちら
メニュー
2025.12.03

ECサイトが「重くなる」のはなぜ?その裏にある仕組みを3分で理解する

ECサイトが「重くなる」のはなぜ?その裏にある仕組みを3分で理解する

EC担当の宿命かもしれません。
ページが重くなった瞬間、なぜか自分が悪い気がしてしまうあの感じ。

でも大丈夫。
ECはとても優秀で、優秀すぎて毎回丁寧に考えすぎてしまうだけなんです。
まるで“一生懸命すぎる新人スタッフ”みたいに。その優しさが、時々“重さ”として現れる。
今日は、その仕組みを3分で解きほぐします。

ECサイトは「展示型」じゃなくて、「計算型」のサイトです

ブログや企業サイトは、用意しておいた情報をそのまま並べる“展示型”。
棚に置いているものを見てもらう感じですね。表示も軽い。

対してECサイトは、ページを開くたびに在庫・価格・会員ランク・カート内・おすすめ…
これらを見て、その人専用のページを都度つくっています。

レジで「今日はクーポンあります?」と計算し直すのと同じで、ECは「計算型」のサイトなんです。

この性格が、重くなる原因のスタートライン。

重くなる原因その1:処理の複雑さ(裏で考えすぎ問題)

ECは“気の利く店員”みたいなもので、一人ひとりの条件を見て全力で考えます。

バリエーションが多い=考えることも多い

サイズ、色、セット、クーポン、会員価格…。
組み合わせが増えるほど、裏側は「えっと…この人は…」と考え込む。

商品点数が多いショップほど、この“考えごと”が一気に増えます。

絞り込み検索は“倉庫を走り回ること”

検索は、巨大な倉庫の中を全力で走って探す作業です。
条件が複雑なら、走る距離も長くなる。
そりゃ息も切れます。

重くなる原因その2:データの置き場所と取り出し方(倉庫の整理整頓問題)

ECの裏側には、商品データや会員データがぎっしり詰まった“倉庫”があります。

古い倉庫は迷路になる

長く運営しているECほど、棚を継ぎ足して何とかし続けてきた結果、倉庫がちょっとした迷路になりがちです。

必要なファイルを探すだけでひと苦労。
ページが重いのは、ここが原因のことも多い。

入口(画像)が重いだけで離脱が起きる

最初に読み込む画像が重いと、入口のドアがなかなか開かない状態になります。
スマホだと特にシビアで、「あ、遅い」と離脱されやすい。

重くなる原因その3:アクセス集中とサーバーのキャパ不足(行列パンク問題)

広告を出した瞬間、セール開始の瞬間。
アクセスがドッと押し寄せるタイミングがあります。

通路にお客さんが一斉に来ると、渋滞が起きる

サーバーには“通れる人数の上限”があります。
そこに急に大量の人が並ぶと、入口が渋滞してしまう。

キャンペーン直後の遅さは大体これ。

キャッシュが弱い=全部その場で手づくり

キャッシュは“作り置き”。
うまく作り置きしていないと、注文のたびに全部手づくり。
料理でもそうですが、それは時間がかかるに決まっています。

どうすれば軽くなる?

鍵は「台所(フロント)と工場(バックエンド)を分ける」

ECは、設計を少し変えるだけで見違えるほど軽くなります。

表側(フロント)を軽く保つ

  • 大きすぎる画像を軽量化
  • CDN※で近いサーバーから届ける
  • 使わないスクリプトは思い切って外す
  • 作れる部分は作り置き

ユーザーが最初に触れる部分を軽くしておくと、印象は劇的に変わります。

裏側(バックエンド)は“まとめて処理”して負荷を減らす

  • 在庫・価格計算などは裏の工場で一括処理
  • 必要なときだけAPI(=必要な情報だけ持ってくる配達員)で取りに行く
  • よく使う情報はキャッシュに置いておく

いま流行りのヘッドレス構成も、要はこの「役割の分担」です。
難しく見えますが、やっていることはとてもシンプル。

※「コンテンツ配信ネットワーク」(Content Delivery Network)の略。画像や動画などのコンテンツを、界中に配置されたキャッシュサーバーから、ユーザーの場所に近いサーバーから配信することで、表示速度を速くし、オリジナルのサーバーへの負荷を軽減する仕組み。

なぜクラウドECが選ばれるのか

──“最初から軽くなる構造”が備わっているから

ECが重くなる原因は、デザインよりも“仕組み”にあります。
だからこそ、最初から重くなりにくい構造を持つクラウドECが選ばれています。

GMOクラウドECもまさにそのタイプで、

  • アクセス増に強い自動スケール
  • フロントとバックの分離(ヘッドレスアーキテクチャ)
  • キャッシュ・画像配信の最適化
  • 各システムとの連携がしやすいAPI
  • 安定稼働とセキュリティ

こういった“速さを保つ仕組み”が最初から組み込まれています。

あとから高速化したいと頭を抱えるより、最初から“重くならない選択肢”を選ぶほうが、どう考えても健全です。

重さの正体がわかると、打つべき手が見えてくる

ECが重くなるのは、

  • 毎回その場で計算している
  • 倉庫が複雑化している
  • アクセス集中に弱い
  • 作り置き(キャッシュ)が少ない

という、いくつかの“仕組みの積み重ね”が原因です。

仕組みを理解すると、
「うちの遅さはどこに理由があるんだろう?」
と自然に考えられるようになるし、改善の順番も見えてきます。

スピードは、売上だけじゃなく「気持ちよさ」に直結します。
ECは触ったその瞬間、ブランドの印象まで変わってしまうから。

だからこそ、仕組みから軽くしていく。
それが、これからのECの当たり前になっていくはずです。

※関連リンク:「GMOクラウドEC」公式サイト

この記事の著者

浦川 航平

浦川 航平 URAKAWA Kohei

株式会社 もずくとおはぎ 代表取締役 CEO

長崎県佐世保市出身。 経営者と芸術家。ふたつの顔を持つ男。

家具・プロダクトデザイナーから通販会社のダイレクトマーケッターを経て2012年にウェブ業界へ足を踏み入れ、2023年3月に独立。経営者の道へ。

「右脳」と「左脳」を自由に行き来する独自のスタイルで、戦略的なプロデュースと緻密なマネジメント、そして人の懐にスッと入る柔軟な人柄を武器に、数々のクライアントの本質的課題に切り込み、解決へと導いてきた。

2025年6月、「GMOクラウドEC」エバンジェリストに就任。
GMOメイクショップ株式会社との連携を通じて、EC領域のさらなる可能性を追求している。

生成AIパスポート
HOMEに戻る