ECサイトが「重くなる」のはなぜ?その裏にある仕組みを3分で理解する
EC担当の宿命かもしれません。
ページが重くなった瞬間、なぜか自分が悪い気がしてしまうあの感じ。
でも大丈夫。
ECはとても優秀で、優秀すぎて毎回丁寧に考えすぎてしまうだけなんです。
まるで“一生懸命すぎる新人スタッフ”みたいに。その優しさが、時々“重さ”として現れる。
今日は、その仕組みを3分で解きほぐします。
ECサイトは「展示型」じゃなくて、「計算型」のサイトです

ブログや企業サイトは、用意しておいた情報をそのまま並べる“展示型”。
棚に置いているものを見てもらう感じですね。表示も軽い。
対してECサイトは、ページを開くたびに在庫・価格・会員ランク・カート内・おすすめ…
これらを見て、その人専用のページを都度つくっています。
レジで「今日はクーポンあります?」と計算し直すのと同じで、ECは「計算型」のサイトなんです。
この性格が、重くなる原因のスタートライン。
重くなる原因その1:処理の複雑さ(裏で考えすぎ問題)
ECは“気の利く店員”みたいなもので、一人ひとりの条件を見て全力で考えます。
バリエーションが多い=考えることも多い
サイズ、色、セット、クーポン、会員価格…。
組み合わせが増えるほど、裏側は「えっと…この人は…」と考え込む。
商品点数が多いショップほど、この“考えごと”が一気に増えます。
絞り込み検索は“倉庫を走り回ること”
検索は、巨大な倉庫の中を全力で走って探す作業です。
条件が複雑なら、走る距離も長くなる。
そりゃ息も切れます。
重くなる原因その2:データの置き場所と取り出し方(倉庫の整理整頓問題)
ECの裏側には、商品データや会員データがぎっしり詰まった“倉庫”があります。
古い倉庫は迷路になる
長く運営しているECほど、棚を継ぎ足して何とかし続けてきた結果、倉庫がちょっとした迷路になりがちです。
必要なファイルを探すだけでひと苦労。
ページが重いのは、ここが原因のことも多い。
入口(画像)が重いだけで離脱が起きる
最初に読み込む画像が重いと、入口のドアがなかなか開かない状態になります。
スマホだと特にシビアで、「あ、遅い」と離脱されやすい。
重くなる原因その3:アクセス集中とサーバーのキャパ不足(行列パンク問題)
広告を出した瞬間、セール開始の瞬間。
アクセスがドッと押し寄せるタイミングがあります。
通路にお客さんが一斉に来ると、渋滞が起きる
サーバーには“通れる人数の上限”があります。
そこに急に大量の人が並ぶと、入口が渋滞してしまう。
キャンペーン直後の遅さは大体これ。
キャッシュが弱い=全部その場で手づくり
キャッシュは“作り置き”。
うまく作り置きしていないと、注文のたびに全部手づくり。
料理でもそうですが、それは時間がかかるに決まっています。
どうすれば軽くなる?

鍵は「台所(フロント)と工場(バックエンド)を分ける」
ECは、設計を少し変えるだけで見違えるほど軽くなります。
表側(フロント)を軽く保つ
- 大きすぎる画像を軽量化
- CDN※で近いサーバーから届ける
- 使わないスクリプトは思い切って外す
- 作れる部分は作り置き
ユーザーが最初に触れる部分を軽くしておくと、印象は劇的に変わります。
裏側(バックエンド)は“まとめて処理”して負荷を減らす
- 在庫・価格計算などは裏の工場で一括処理
- 必要なときだけAPI(=必要な情報だけ持ってくる配達員)で取りに行く
- よく使う情報はキャッシュに置いておく
いま流行りのヘッドレス構成も、要はこの「役割の分担」です。
難しく見えますが、やっていることはとてもシンプル。
※「コンテンツ配信ネットワーク」(Content Delivery Network)の略。画像や動画などのコンテンツを、界中に配置されたキャッシュサーバーから、ユーザーの場所に近いサーバーから配信することで、表示速度を速くし、オリジナルのサーバーへの負荷を軽減する仕組み。
なぜクラウドECが選ばれるのか
──“最初から軽くなる構造”が備わっているから
ECが重くなる原因は、デザインよりも“仕組み”にあります。
だからこそ、最初から重くなりにくい構造を持つクラウドECが選ばれています。
GMOクラウドECもまさにそのタイプで、
- アクセス増に強い自動スケール
- フロントとバックの分離(ヘッドレスアーキテクチャ)
- キャッシュ・画像配信の最適化
- 各システムとの連携がしやすいAPI
- 安定稼働とセキュリティ
こういった“速さを保つ仕組み”が最初から組み込まれています。
あとから高速化したいと頭を抱えるより、最初から“重くならない選択肢”を選ぶほうが、どう考えても健全です。
重さの正体がわかると、打つべき手が見えてくる
ECが重くなるのは、
- 毎回その場で計算している
- 倉庫が複雑化している
- アクセス集中に弱い
- 作り置き(キャッシュ)が少ない
という、いくつかの“仕組みの積み重ね”が原因です。
仕組みを理解すると、
「うちの遅さはどこに理由があるんだろう?」
と自然に考えられるようになるし、改善の順番も見えてきます。
スピードは、売上だけじゃなく「気持ちよさ」に直結します。
ECは触ったその瞬間、ブランドの印象まで変わってしまうから。
だからこそ、仕組みから軽くしていく。
それが、これからのECの当たり前になっていくはずです。
※関連リンク:「GMOクラウドEC」公式サイト



