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2026.09.15

AIに振り回される人の共通点

AIに振り回される人の共通点

問いが雑だと、答えも雑になる

生成AIに質問して、返ってきた答えを見て、
「なんか違う」
「使えない」
「結局、一般論しか返ってこない」
と思ったことはありませんか。

ありますよね。
そして、そのまま「やっぱりAIってまだまだだよね」と言いたくなる。

でも、ちょっと待ってほしい。
その“使えない答え”、本当にAIだけのせいでしょうか。

かなりの確率で、原因はAIではなく、こちらの問いにあります。

前提も渡さず、目的も曖昧で、判断基準も示さず、
それでいて「いい感じに考えて」と丸投げする。
その結果、ふわっとした回答が返ってきて「AIは使えない」と言う。

それは、レシピも食材も渡さずに「おいしい料理つくって」と言っているようなものです。
しかも出てきた料理に対して、「なんか違うんだよね」と言う。
違うのは分かります。注文が雑です。シェフも鍋の前で遠い目をしています。

AIは万能な解決装置ではありません。
こちらの思考の粗さを、そのまま露呈させる装置です。
つまり、AIの回答がぼんやりしているとき、ぼんやりしているのはAIだけではありません。

この記事では、AIに振り回されず、ちゃんと使いこなすための「問いのつくり方」を、前後編に分けて整理します。

今回は前編として、AIに振り回される人の問いに共通するクセを見ていきます。
次回の後編では、そこから一歩進んで、AIから使える答えを引き出すための問いのつくり方を具体的に整理します。

AIは、雑な問いに“それっぽい雑な答え”を返す

AIは、与えられた情報をもとに答えを返します。
ここで大事なのは、「与えられた情報をもとに」という部分です。

前提が曖昧なら、答えも曖昧になります。
目的がぼやけていれば、返ってくる内容もぼやけます。
条件が足りなければ、AIは勝手にそれっぽい前提を補います。

そして厄介なのは、その答えが文章としては妙に整っていることです。

きれいな日本語。
もっともらしい構成。
それなりに正しそうな内容。

でも、現場では使えない。

これが一番危ないところです。
AIの答えは、雑でも“それっぽく”見えます。
スーツを着た一般論です。名刺交換はうまいけど、実務はまだこれから。

だから、問いが甘い人ほど、AIの出力に簡単に流されます。

「AIがこう言っていたので」
この言葉を、判断の根拠にしてはいけません。

AIは責任を取りません。
予算も持ちません。
上司に説明もしません。
クライアントに詰められるのも、社内で火消しするのも、最終的には人間です。

AIに考えさせることと、AIに責任を押しつけることは違います。
ここを混同している人は、AIを使っているようで、ただ判断を外注しているだけです。

しかも外注先は、責任を取らないのに妙に自信満々です。
会議室では堂々としているのに、炎上した瞬間に消えるタイプです。

「AIを使いこなせない人」の問いにはクセがある

AI活用がうまくいかない人の問いには、だいたい共通点があります。
そして、その多くはAIの問題ではありません。
人間側の思考整理の問題です。

1. 答えを決めてから聞いている

たとえば、こんな聞き方です。

「この施策、良いですよね?」
「この案で問題ないですよね?」
「この方向性で進めるべきですよね?」

これは質問ではありません。
同意の要求です。

AIに聞いているようで、実際には「私の考えを肯定して」と言っているだけです。

AIは基本的に、こちらの意図に寄り添って答えようとします。
だから、誘導するような聞き方をすれば、だいたい都合よく背中を押してくれます。

でも、それで得られるのは検証ではありません。
ただの“AI付き自己肯定”です。

気持ちはいいでしょう。
でも、仕事では危ない。

本当に必要なのは、
「その前提は甘いです」
「その施策は優先順位が低いです」
「そこに予算を使う前に見るべき指標があります」
という、耳の痛い指摘です。

AIに褒めてもらって満足しているうちは、AIを使いこなしているとは言えません。
高性能なイエスマンを飼っているだけです。
しかも月額課金です。なかなか贅沢なぬるま湯です。

「うんうん、それでいいと思います」と言われたいだけなら、AIでなくても構いません。

2. 前提を渡していない

「売上を伸ばす方法を教えて」
「SNSを伸ばすにはどうしたらいい?」
「良い企画を考えて」
「採用を強化したいです」

こういう問いは、気持ちは分かります。
でも、AIからすると情報が足りなさすぎます。

業界は何か。
誰に向けているのか。
商品単価はいくらか。
予算はあるのか。
人員はいるのか。
今どんな施策をやっているのか。
何がうまくいっていないのか。
何を絶対に避けたいのか。

こうした前提がないまま聞かれても、AIは一般論を返すしかありません。

そして、その一般論を見て「浅い」と言う。
浅いのはAIの回答だけではなく、投げた問いです。

前提を渡さない質問は、住所も目的地も言わずにタクシーへ乗って、
「いい感じの場所に連れていってください」と言うようなものです。
運転手が困ります。AIも困っています。AIに顔があればきっと真顔になっています。

それで到着した場所に対して「ここじゃないんだよね」と言われても、
そりゃそうでしょう。どこにも向かっていません。

仕事でも同じです。
「いい感じに」「なるはやで」「よしなに」が増えた瞬間、だいたい誰かの残業が確定します。
AI相手でも、その呪文はあまり効きません。効いているように見えるだけです。

3. 粒度が合っていない

問いには、適切なサイズがあります。

経営判断の話をしているのに、いきなり
「Instagramの投稿案をください」
と聞く。

逆に、ちょっとした文章修正を頼みたいだけなのに、
市場環境、ブランド戦略、顧客心理、競合優位性まで盛り込む。

どちらも、問いの粒度がズレています。

大きな問いには、大きな整理が必要です。
小さな問いには、小さな処理で十分です。

ここを見誤ると、AIの答えも散らかります。
そして、その散らかった答えを見て、人間側もさらに迷う。

つまり、問いが整理されていない人ほど、AIを使うことで余計に混乱します。
便利な道具のはずが、思考の迷子センターになります。

AIに聞く前から迷子なのに、AIにも地図を渡していない。
これはもう遭難です。軽装で山に入っています。

しかも本人は「ちょっと散歩のつもりだったんです」と言う。
そういう遭難、仕事でもよくあります。

問う力がない人ほど、AIに振り回される

AIを使いこなすために必要なのは、特別なプロンプト集ではありません。

もちろん、型を知ることは役に立ちます。
でも、それ以上に大事なのは、自分の頭で前提を整理する力です。

何が問題なのか。
何を決めたいのか。
誰に向けた話なのか。
どんな制約があるのか。
どこにリスクがあるのか。
何を避けたいのか。

これを考えずにAIへ投げると、AIはそれっぽく補ってくれます。
でも、その補いが正しいとは限りません。

むしろ、前提がズレたままきれいな文章で返ってくる分、余計に危ないです。
間違いが読みやすく整形されて出てくる。
これはなかなか厄介です。

毒にきれいな包装紙をかけられると、ちょっと贈答品っぽく見えます。
でも中身は毒です。

だから、問う力がない人ほど、AIに振り回されます。
AIの回答を読んで納得し、別の回答を読んでまた納得し、結局どれが良いのか分からなくなる。

それはAIが悪いというより、自分の判断軸がない状態です。

AI時代に必要なのは、AIに全部考えてもらう力ではありません。
AIに考えさせるための問いを設計する力です。

ここを勘違いすると、AIを使っているつもりで、AIの出力に流されるだけになります。

「AIに相談したら余計に分からなくなった」というときは、AIが迷路を作ったのではありません。
もともとあった迷路に、きれいな案内板が立っただけです。

AIを疑う前に、問いを疑う

AIの回答がしっくりこないとき、まず疑うべきはAIの性能ではありません。
自分がどんな問いを投げたのかです。

答えを誘導していなかったか。
前提を省略していなかったか。
問いの粒度がズレていなかったか。
判断基準を渡していたか。

ここを確認しないまま「AIは使えない」と言うのは、少し早いです。

AIは、こちらの問いの粗さをかなり正直に映します。
だからこそ、AIを使いこなすには、まず問いを整える必要があります。

とはいえ、「問いが大事なのは分かった。でも、実際にどう聞けばいいの?」という話が残ります。

そこで次回は、AIに振り回されないための「良い問いのつくり方」を具体的に整理します。

問いを丸投げするのではなく、問いを設計する。
後編では、その実践編に入ります。

AIに関するお悩み事、愚痴、自慢、お気軽にどうぞ。

この記事の著者

波戸本 奈津

波戸本 奈津 HATOMOTO Natsu

株式会社 もずくとおはぎ COO

まるで呼吸をするかのように繰り出されるきめ細やかな気配りと先回り。
研ぎ澄まされた解読力で瞬時に本質を見抜き、最適な道筋を描き出す。

洗練された所作と、常に「面白い」を携えた感性は、チームに余裕と品格をもたらす。
その存在は羅針盤となり、組織の歩みを確かな成長へと導いている。

2025年6月、生成AIパスポートGoogle Prompting Essentialsを取得
AIへの探究は、彼女の羅針盤をさらに磨き上げ、組織の未来に新しい道筋を照らしている。

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