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2026.05.19

福岡ポテトサラダ465浦川Q&A vol.4【実装編】

福岡ポテトサラダ465浦川Q&A vol.4【実装編】

福岡ポテトサラダ465について、これまで「なぜ始めたのか」「何を設計しているのか」「どこに向かっているのか」を3回にわたって聞いてきましたが、そこまではまだ構想や思想の話でもありました。

では、実際にオープンしてみて現場では何が起きていたのか。お客様と接し、商品を作り、毎日営業してみて、何が見えてきたのか。

同じ会社にいても、ここから先はさらに生々しい。理想だけでは回らないし、逆に理屈だけでも成立しない。構想が実装されたとき、何がズレて何が想像以上だったのか。そして、福岡ポテトサラダ465は今どんな状態にあるのか。

前回が最終回のつもりだったんですが、オープンから1ヶ月経った現場の話も気になってしまって笑

1. まず率直に、オープンから1ヶ月経ってみて、今どんな感覚ですか?

超ハードな毎日が続いていますが、率直に言うと充実しすぎています笑

構想段階で頭の中で組み立てていたものを実際に現場へ落とし込んだとき、どんなズレや違和感が発生するのかをかなり繊細に見ていました。
福岡ポテトサラダ465は単純に「飲食店を始める」という話ではなく、社会課題へのアプローチ、空間設計、働き方、クリエイティブの思想など、複数の要素が同時に動く事業です。だからこそ、どこか一箇所でも崩れると全体に影響が出る可能性がある。

実際にオープンしてみると、発生した出来事のほとんどは「想定通り進んだこと」「想定通りではなかったけど解決可能なこと」「今後アップデート予定のこと」に分類されました。
つまり、致命的な問題は今のところ発生していません。

これはかなり大きいです。

もちろん、現場は毎日バタバタしています。既存事業も動いているので、身体的には普通にキツい笑
でも、そのキツさは嫌なものではなく「ちゃんと前に進んでいる疲労感」なんですよね。

構想だけで終わらず、実装され、人が来て、反応が返ってくる。そこに対して毎日調整とアップデートを繰り返している。

そう考えると、この1ヶ月はオープンしたというより、ようやくスタート地点に立った感覚の方が近いです。


2. オープン前に思い描いていた状態と、実際の現場にはどんな違いがありましたか?

飲食は既存事業とは違う領域ですが、感覚としてはどこか生活の延長線上にあるような気がしていました。
「食べ物をつくる」「人と触れ合う」という行為自体は、人間が日常的にやっていることですから。

だから、初めてやるけど完全な“未知”ではない。そんな感覚がありました。

ただ、実際に始めてみると、そのプロセスの中で個性や感覚の違いがかなり色濃く出る。自分たちにとって当たり前だったことが、他の人にとっては当たり前じゃない場面も多かったです。

例えば、空気感への感度や細部への違和感。「このくらいでいい」が、各々の基準では成立しないこともある。

逆に、自分たちが強くこだわっている部分が、お客様に自然に伝わっている場面もあった。つまり、自分たちが何を普通として生きてきたかが、現場で可視化された感覚です。

それは驚きでもあり、確認作業でもありました。この事業を通じて、商品だけではなく自分たち自身の輪郭も見えてきている気がします。


3. やってみて最初に見えてきたのは、手応えでしたか、それとも課題でしたか?

まず感じたのは、間違いなく手応えです。

正直、お客様に実際に食べてもらうまではどこまで受け入れてもらえるか分かりませんでした。
自分たちの中ではかなりの熱量とこだわりを持って作っていますが、それが外側でどう受け取られるかは別の話ですから。

でも、オープンしてから本当に多くの方にご来店いただきました。そして「美味しい」「身体に優しそう」「細部までこだわっているのが分かる」「ワインと一緒に食べたら最高だった」など、想像以上に色々な反応をいただいた。

中には「母にも食べさせたいと思って、また来ました」という方もいらっしゃった。これはかなり嬉しかったですね。

つまり、単なる消費ではなく、誰かの日常に関係性として入り込めている。これこそ、私たちがやりたかったことでした。

もちろん、課題は山ほどあります。でも、その課題は「成立していない」ではなく、「もっと良くできる」の領域なんです。

だから今は、確かな手応えを感じながら精度を上げ続けている段階だと思っています。


4. 実際に動かしてみて、この事業は改めて何のためにあると感じていますか?

内部的な視点で言えば、これはやはり「人生の充実につなげるため」の事業です。学生スタッフも、自分たちも、関わる人がより良い状態に向かうための仕組みとして存在している。

外部的な視点では、「クリエイティブ × 社会課題へのアプローチ」。そして、お客様に対しては「安心・安全・美味しい」を新しい形で届けるためにある。

つまり、どこか一方向だけを向いている事業ではありません。

利益だけ。
社会貢献だけ。
自己表現だけ。

そういう単一的なものではなく、複数の価値が同時に成立するバランスを取り続けることに意味がある。

だから、この事業は何か一つのためではなく、関わる全方位が少しずつ満たされる状態をつくるために存在しています。

そして、その状態は固定ではなく常に変化していく。だからアップデートし続ける必要がある。

この1ヶ月で、その感覚はより確信に変わりました。


5. 食を入口にすることで、自然に人との接点が生まれる感覚はありましたか?

かなりありました。

元々親交がある方でも、新しい空間で、新しいモノを目の前にすると、新しい会話が生まれるんです。これまでWEBやITの話をしていた人とも、「食」を通すとまったく違うコミュニケーションになる。

さらに、スタッフの知人は私にとって新しい出会いですし、Instagramやテレビを見て来店してくださった方との接点も発生した。
既存の人間関係の延長と、新しい接点の両方が同時に生まれている。

まだ1ヶ月ですが、この短期間でもかなり多くの人と出会いました。

しかも、食は距離を縮める速度が速い。WEBやアートよりも、もっと生活に近いところにあるからです。

だから毎日、「今日はどんな人と会うんだろう」「どんな反応が返ってくるんだろう」
という期待感や発見がある。それは少し怖さもありますが、同時にかなり刺激的でもあります。

食は人との関係性を自然に更新する装置でもある。この感覚は、実際にやってみてかなり強く感じています。


6. 実際にお客様と接してみて、ポテトサラダそのもの以外に反応されていると感じるものはありますか?

かなりあります。

特に感じるのは、ichirinのギャラリーを併設していることによって生まれる空気感や世界観に対する反応です。
「落ち着く」「空間が心地いい」「なんか安心する」みたいな言葉をいただくことが多い。

お客様は単純に「食べ物」だけを受け取っているわけではないんですよね。空間、音、作品、接客、流れている時間。それらを含めて体験している。

これは、既存事業でずっと大切にしてきた目に見えないものの設計が、そのまま空間として再現されている感覚に近いです。

しかも面白いのが、最初はポテトサラダ目当てで来た方が自然と作品を見始めたり、逆に作品を見ていた方が食に興味を持ったりすること。領域が分断されていないんです。

飲食とアートって別物として扱われますが、実際に同じ空間に置いてみると感情の動き方がすごく近い。

「美味しい」と「なんか惹かれる」が、同じレイヤーで動いている感覚があります。ポテトサラダを売っているようで、実際には空気感や感情の変化まで含めて体験として届けている。
この感覚は、オープンしてからより強くなりました。


7. 今の時点で、いちばん伝わっている価値は何だと感じていますか?

現時点では、かなりシンプルに「美味しさ」「安心・安全」「こだわり」だと思います。

やはり、最初に来るのは食としての評価です。「美味しい」という入口を超えられないと、その先には進めない。だからこそ、そこに対してはかなり繊細に向き合っています。

さらに、無農薬や無添加、手作りといった要素に対して安心感を持ってくださる方も多い。
実際に「身体に優しそう」「ちゃんと作ってる感じがする」という声もいただいています。

ただ、それ以上に嬉しいのは、「細部への執着」みたいなものを感じ取ってくださる方がいることです。

ポテトの食感、ソースの複雑さ、空間との統一感。そういう細かい部分に対して「なんか違う」と感じてもらえている。

これは単純な味の評価だけではなく、こちら側の思想や温度感まで少し伝わり始めているということだと思っています。

もちろん、まだ1ヶ月です。本当に伝えたいことの大半は、まだこれから。でも、入口としてはかなり良い状態でスタートできている感覚があります。


8. 逆に、まだ十分には届いていないと感じるものは何ですか?

正直、ほとんどのことがまだ十分には届いていません。

オープンしてまだ1ヶ月ですし、今は“存在を知ってもらう段階”でもあるので、まずは「美味しい」「気になる」という入口が中心になっています。

でも、本当はその奥に、
・なぜこの事業をやっているのか。
・なぜこの素材なのか。
・なぜ学生支援につながっているのか。
・なぜアートと飲食が同じ空間にあるのか。

そういった背景や構造があります。つまり、今伝わっているのはまだ入口の価値なんですよね。

もちろん、今はそれで十分とも言えます。入口が成立しなければ、その先には進めないので。ただ、この事業は「美味しかった」で終わるものではなく、その先にある思想や循環まで含めて初めて完成する。

だからこれからは、発信の精度をもっと上げていきたい。Instagram、動画、WEB、インタビュー、空間。いろんな角度から、この取り組みの輪郭を届けていく。

その結果として、「なんか好き」だけじゃなく、「考え方に共感する」という人が増えていけば嬉しいですね。


9. 今は社内メンバーでスキームをつくっている段階だと思いますが、実際に回してみて一番大きかった学びは何ですか?

一番大きかったのは、既存事業以上に個性が可視化されたことです。

出来ること、出来ないこと。
得意不得意。
判断の速さ。
感度の違い。

そういうものが、かなり色濃く現れた。

WEBやITの仕事でも当然差はありますが、飲食はもっとダイレクトです。目の前で人が動き、商品が動き、時間が流れる。だから、個人の特性がそのまま現場の質に直結する。

逆に言えば、「誰が何に向いているのか」が、かなり分かりやすく見えた1ヶ月でもありました。

あと大きかったのは、既存事業とのバランスです。これが疎かになると本末転倒なんですよね。新規事業に熱量を持つのは当然ですが、それによって既存事業の質が落ちるなら意味がない。だから今は、「広げる」だけではなく、「両立させる」という方向性もちゃんと担保しています。
新しいことを始めるというより、既存を含めた全体最適を再設計している感覚です。


10. 自分たちでやってみたからこそ見えた、想定外のボトルネックはありますか?

商品の製造や管理ですね。

もちろん、準備段階でもかなりテストは重ねています。既存事業でもリスク管理やインシデント対応にはかなり敏感で繊細に取り扱うので、その習慣も身についている。

それでも、実際に営業を始めると見えてくるものがある。例えば、同じ品質を維持しながら、どう効率化するか。どこまで手作業を残すか。仕入れや製造量をどう読むか。

これは、机上では完全には分からなかった。しかも難しいのは、単に問題を解決するだけでは足りないことです。

今あるポジティブをさらにどう積み上げるか。「美味しい」を、もっと美味しくできないか。空気感をもっと研ぎ澄ませないか。

 課題解決だけではなく、価値そのものを拡張する試行錯誤が同時に発生している。これが、飲食を実際にやってみて見えた面白さでもあり難しさでもあります。


11. 「これは先に仕組みにしておくべきだった」と感じたことはありますか?

ありません。

もともと、会社の文化として「仕組み化は最低限度」という構築をしています。もちろん最低限の再現性や共有は必要。でも、仕組みが強すぎると個人の感度や判断力が弱くなる。

私たちはむしろ、属人的な能力への依存を戦略としている部分があります。だから今回も最低限必要な仕組みだけは準備していました。
その上で、実際に動かしながら必要に応じてアジャイル的に拡張していく前提だった。

つまり、最初から完璧なマニュアルをつくるという発想ではないんです。想定レベルで十分。

なぜなら、現場は必ず変化する。お客様も変わる。自分たちもアップデートされる。その中で、後から足して構築していくほうが自然だと考えているからです。

むしろ、最初から固めすぎるほうが危険。柔軟性が失われるので。

だから今も 「今このタイミングで必要な仕組みは何か?」を見ながら少しずつ整えている状態です。


12.将来的に社外のメンバーが入ることを考えたとき、今のうちに固めておきたい土台は何ですか?

まずは、レシピや製造方法のマニュアル化ですね。

465のポテトサラダは大前提として手作りなので、多少の味のブレは個性だと思っています。ただ、それでも「美味しい」の範囲から外れてはいけない。

既に気に入ってリピートしてくれているお客様もいらっしゃいますし、これから来店を楽しみにしている方もいる。その期待を裏切らない状態は、最低限つくっておかなければいけません。

高い自由度を実装しているからこそ、品質担保はしっかりと固めておくことが必要。ただ、完全に仕組みだけで成立する状態にはしたくない。

最終的に加わる人材は、「仕組みにもたれかからない人」が前提です笑

判断し、自分で感じ取り、改善できる人。そういう人と一緒にやりたい。だから、マニュアルは作るけど、マニュアル人間は増やさない。このバランスはかなり大事にしています。


13. 忙しい現場の中でも、削りたくない手間や判断はありますか?

やはり「最初の一口で感じる美味しさ」を裏切らないことですね。

465のポテトサラダはかなり工程数が多いです。ポテトもソースも複雑で、一つ一つに意味がある。だから、どれか一つを省略すると、全体のバランスが崩れる。効率化だけを優先すると、一気に普通になる危険性があります。

もちろん、営業が始まると時間との戦いになります。忙しくなるほど、「この工程、本当に必要?」という誘惑も出てくる。

でも、そこを削ると最終的に違和感として返ってくるんですよね。たった1か月ですが、その洗礼を存分に浴びました笑

美味しさって、単純な味覚だけではなく、積み重なった手間の総量でもある。

だから削らない。

むしろ、どうすればこの質を維持したまま回せるかを考える。その思考のほうに時間を使いたいと思っています。


14. いま改めて、「福岡ポテトサラダ465は何を売る事業か」と聞かれたら、どう答えますか?

かなり難しい質問ですね笑

もちろん、表面的にはポテトサラダを販売している事業です。でも、1ヶ月やってみて改めて感じるのは、実際にやり取りされている価値はそれだけではないということです。

例えば、お客様が「美味しい」と感じる。それは単純に味覚だけの話ではなく、空間や接客、素材への安心感、その日の気分や一緒に来た相手まで含めて成立している。

さらに、その購入が学生支援として社会課題への循環にもつながっている。しかも、それを過度に押し付けず自然な形で成立させている。

 465はポテトサラダを入口にしながら、実際には「感情」「関係性」「空気感」「未来への投資」みたいなものまで含めてやり取りしている感覚があります。

だから、「何を売っているのか?」に対して一言で答えるなら、『人生の解像度を少し上げる体験』なのかもしれません。

ちょっと大げさに聞こえるかもしれませんが、食って本来それくらい日常なんですよね。

毎日触れるものだからこそ、そこに少しだけ丁寧さや、美意識や、優しさが混ざるだけで、人の感情って変わる。465は、その少しの変化を積み重ねる事業なんだと思っています。

15. 次の1ヶ月で、いちばん整えたいことは何ですか?

まず、最初の1ヶ月を通して、運営しながら手探り箇所の洗い出しはかなりできました。実際に動かしてみないと分からないことも多かったですが、その輪郭はかなり見えてきています。

そして、その流れを受けて、5/20(水)の営業日から第一弾のアップデートを実施します。

営業時間を11:00〜19:30へ拡大。さらにイートインを開始し、ビール、ワイン、炭酸水、コーヒーなどのドリンク提供も始める。加えて、新メニューも投入します。

これは単純なメニュー追加ではなく、「465という空間をどう体験してもらうか」の拡張なんです。

例えば、ワインとポテトサラダを一緒に楽しむ。
空間でゆっくり過ごす。
作品を見ながら食べる。

そういう時間の使い方まで含めて、465をアップデートしていきたい。

同時に、発信力もさらに強化します。Instagram広告、インフルエンサー施策、自社リール、ブランドサイト改善、予約販売。ここから少しずつ、知ってもらうを本格的に加速させていきます。

オープン1ヶ月でようやく土台が見えてきた。だから次の1ヶ月は、この事業の輪郭をもっと外側へ広げていく期間にしたいと思っています。


1ヶ月という時間は長いようで一瞬。

実際に営業し、人と接し、毎日アップデートを繰り返していると、その短期間の中にもかなり多くの変化が発生していました。

今回あらためて感じたのは、福岡ポテトサラダ465は「完成したものを提供する事業」ではなく、人や空間、関係性と一緒に変化し続ける事業なのだということ。

だから、まだまだ未完成です。

むしろ、ここからのほうが面白くなる気がしています。

食を入口にしながら、どこまで人の日常や感情に触れられるのか。そして、その先にどんな循環を生み出せるのか。どうせ次の1ヶ月もまた試行錯誤。その次も、そのまた次も。
ぜひ、ポテトサラダと一緒にその変化の過程ごと味わっていただけたら幸いです。

福岡ポテトサラダ465

この記事の著者

浦川 航平

浦川 航平 URAKAWA Kohei

株式会社 もずくとおはぎ 代表取締役 CEO

長崎県佐世保市出身。 経営者と芸術家。ふたつの顔を持つ男。

家具・プロダクトデザイナーから通販会社のダイレクトマーケッターを経て2012年にウェブ業界へ足を踏み入れ、2023年3月に独立。経営者の道へ。

「右脳」と「左脳」を自由に行き来する独自のスタイルで、戦略的なプロデュースと緻密なマネジメント、そして人の懐にスッと入る柔軟な人柄を武器に、数々のクライアントの本質的課題に切り込み、解決へと導いてきた。

2025年6月、「GMOクラウドEC」エバンジェリストに就任。
GMOメイクショップ株式会社との連携を通じて、EC領域のさらなる可能性を追求している。

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