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2026.06.11

BtoB ECは“便利”だけでは使われない?発注担当者が求める“ラクさ”とは

BtoB ECは“便利”だけでは使われない?発注担当者が求める“ラクさ”とは

「便利なはずなのに、結局FAXに戻っている」——それ、ECのせいだけではありません

BtoB ECを導入した。
ログイン画面もある。商品も並んでいる。注文もできる。

でも、しばらくすると現場ではこうなっている。

「いつものようにFAXで送りますね」
「電話で確認したほうが早いので」
「メールに注文書を添付しておきました」

……あれ、ECどこ行った。

こういう話、実は珍しくありません。

もちろん、BtoB ECそのものが悪いわけではありません。
問題は、“便利なシステム”として用意されていても、使う人にとって“ラクな流れ”になっていないことがあるという点です。

導入する側は「これで業務効率化できる」と考える。
でも、発注する側は「今までより面倒になっていないか」で判断する。

ここがかなり大事です。

BtoB ECが定着するかどうかは、機能の数だけでは決まりません。
発注担当者が日々の業務の中で、

「これなら迷わない」
「これなら早い」
「これなら電話しなくても大丈夫そう」

と思えるかどうか。

要するに、BtoB ECに必要なのは“便利そうに見えること”ではなく、発注担当者の手元で本当にラクになることです。

今回は、発注者側の目線から、使われ続けるBtoB ECに必要な“ラクさ”を整理していきます。

なぜ、BtoB ECは使われなくなるのか

導入する人と、毎日使う人が違う

BtoB ECの導入を検討するのは、多くの場合、経営層やシステム担当者、営業部門です。

「受注業務を減らしたい」
「電話やFAXの対応を減らしたい」
「入力ミスを減らしたい」
「取引先にもECを使ってもらいたい」

この目的は、とても正しいです。
むしろ、BtoB ECを導入する理由としては王道です。

ただ、ここで見落としてはいけない人がいます。

実際に注文する、取引先の発注担当者です。

導入する側から見れば、ECは業務効率化の仕組みです。
でも発注担当者から見れば、ECは「今日の注文を終わらせるための道具」です。

この温度差があります。

導入側は「これで便利になります」と思っている。
でも使う側は「また新しい操作を覚えるのか」と感じている。

このズレが残ったままだと、BtoB ECは使われにくくなります。

立派な入口を作ったのに、お客さんは慣れた裏口から入ってくる。
そして裏口のほうに行列ができる。
なかなか切ない状況です。

“便利”と“ラク”は、似ているようで違う

ここで分けて考えたいのが、「便利」と「ラク」の違いです。

機能が多い。
細かい設定ができる。
いろいろな条件に対応できる。

これはたしかに便利です。

でも、発注担当者が毎回求めているのは、必ずしも多機能ではありません。

「前に頼んだ商品をすぐ注文したい」
「自社の価格がちゃんと表示されていてほしい」
「どこを押せばいいか迷いたくない」
「注文したあとに、余計な確認を増やしたくない」

こういうことです。

発注担当者は、ECサイトの機能一覧を味わいに来ているわけではありません。
今日の発注を、できれば早く終わらせたい。

ここを見誤ると、「機能はあるのに使われない」という状態になります。

BtoB ECにおける“ラクさ”とは、単にボタンを減らすことではありません。
発注担当者が考え込まなくていい。確認の手間が増えない。いつもの業務の流れから外れすぎない。

このあたりまで含めた設計です。

発注担当者が“ラク”と感じるBtoB ECとは

初回は営業が支える。2回目以降はECで迷わず注文できる

BtoB ECを導入するときに、いきなり「今後はすべてECでお願いします」と切り替えるのは、少し乱暴です。

もちろん、最終的には注文をECに集約していきたい。
それはよくわかります。

ただ、取引先の発注担当者からすると、急に運用が変わるのは負担です。

だからこそ、現実的なのは段階的な移行です。

たとえば、初回注文は営業担当が操作をサポートする。
必要に応じて、代理注文で受け付ける。
そして2回目以降は、購入履歴やリピートオーダー機能を使って、取引先自身がスムーズに注文できる流れをつくる。※1

この流れにすると、発注担当者の心理的なハードルはかなり下がります。

「あ、前に頼んだ商品ならここからすぐ注文できるんですね」

この体験があると、ECは“覚えなきゃいけない新システム”ではなく、“次から少しラクできる場所”になります。

ここが大事です。

人は、正しいから使うのではありません。
自分にとってラクだと感じるから、使い続けます。

これはBtoB ECに限らず、だいたいの業務システムに言えることです。
「正しいけど面倒」は、現場ではかなりの確率で負けます。相手は日々の忙しさです。強敵です。

過去の購入履歴から、すぐ再注文できる

BtoB取引では、毎回まったく違う商品を注文するよりも、同じ商品を繰り返し発注するケースが多くあります。

であれば、過去の購入履歴から簡単に再注文できることは、かなり重要です。

毎回商品名を検索する。
品番を確認する。
数量を入力する。
前回と同じ内容かどうかを見比べる。

この作業、ひとつひとつは小さい。
でも、毎月、毎週、場合によっては毎日となると、なかなか重たい。

発注担当者にとって嬉しいのは、「先月と同じ内容で注文したい」がすぐできることです。

BtoB ECでは、ここを丁寧に設計するだけで、使われ方が変わります。

画面の華やかさより、履歴からの再注文。
凝った演出より、迷わない導線。
格好いいトップページより、前回注文への近道。

もちろん見た目も大事です。
でも、発注担当者は美術館に来ているわけではありません。
発注を終わらせに来ています。

ここを間違えると、ECサイトが“きれいな回り道”になってしまいます。

自社専用の価格・条件が、最初から反映されている

BtoB取引では、取引先ごとに価格や掛け率、購入条件が違うことがあります。

同じ商品でも、A社とB社で価格が違う。
会員ランクによって表示内容が違う。
特定の取引先だけ購入できる商品がある。

こうした条件は、BtoBではごく自然なものです。

だからこそ、発注担当者がログインしたときに、自社に合った価格や条件がきちんと表示されていることが大切です。

もしログイン後に一般価格が表示されていたら、担当者は不安になります。

「これ、本当にうちの価格?」
「あとで差額調整されるの?」
「結局、電話で確認したほうがよくない?」

こうなると、ECの意味が薄れてしまいます。

発注担当者の頭の中に「確認しなきゃ」が生まれた瞬間、ECのラクさは一歩後退します。

ログインした瞬間に、自社専用の価格、購入条件、表示商品が反映されている。
この当たり前に見える設計が、発注担当者の安心感につながります。

GMOクラウドECやMakeShop byGMOのBtoB向け機能では、会員グループごとの価格表示や商品表示に対応できるため、取引先ごとの条件をEC上に反映しやすくなります。※2

BtoB ECでは、「誰に何をどう見せるか」がとても重要です。

ここが雑になると、発注担当者の頭の中に確認作業が増えます。
確認作業が増えると、人はだいたい電話に戻ります。

慣れた道具は強いです。
FAXなんて、もはや現場に残る古参兵です。油断するとすぐ前線復帰してきます。

承認フローまで含めて、発注体験を考える

発注担当者だけで完結しないのがBtoB

BtoBの発注は、個人の買い物とは違います。

担当者が商品を選ぶ。
上長が承認する。
必要に応じて見積書を確認する。
社内処理を経て、正式に発注する。

このように、社内の承認プロセスが絡むことが多いです。

つまり、BtoB ECを考えるときは、「商品をカートに入れて終わり」では不十分です。

見積書を発行できるか。
社内承認を進めやすいか。
注文履歴や発注内容を確認しやすいか。
承認者にとってもわかりやすい画面になっているか。

ここまで含めて、発注体験です。

担当者がECで商品を選んだあと、結局メールで見積を依頼し、上長にPDFを送り、承認後にまた電話で発注する。

これでは、ECが途中で置き物になってしまいます。

せっかく登場したのに、物語の中盤で急に出番がなくなるキャラクターみたいな状態です。
序盤の存在感はあったのに、気づけば背景にいる。つらい。

ECの中で見積・承認・注文まで進められると、使われやすい

BtoB ECでは、見積発行、社内承認、注文確定までの流れを、EC上で進められるように設計できると理想的です。※1

発注担当者にとっては、社内確認がしやすくなる。
承認者にとっては、内容を見て判断しやすくなる。
販売側にとっては、やり取りの履歴が残り、受注処理もしやすくなる。

このように、関係者全員の手間が減る設計になっていると、ECは使われやすくなります。

ここで大事なのは、発注担当者だけを見るのではなく、その周辺にいる人たちの動きまで見ることです。

BtoB ECは、ひとりの買い物体験ではありません。
会社と会社の間で起きる業務体験です。

だから、画面だけを整えても足りません。

承認、見積、社内確認、販売管理。
その前後にある動きまで含めて設計することで、ようやくECが業務の中に入っていきます。

API連携で、ECが“業務の外側”ではなく“業務の中”に入る

二重入力が残ると、現場はつらい

ECで注文を受けたあと、その内容を社内の販売管理システムやERPに手入力している。

この状態だと、ECは便利なようで、現場には手間が残ります。

注文データを見て、別システムに入力する。
入力内容を確認する。
ミスがあれば修正する。
在庫や出荷情報をまた別で確認する。

これでは、ECを導入したのに、裏側で人ががんばり続けることになります。

もちろん、すべてを一気に連携する必要はありません。
段階的に整えるほうが現実的なケースもあります。

ただ、受注数が増える。
取引先が増える。
商品点数が増える。
対応する担当者が限られている。

こうなると、手入力中心の運用はだんだん苦しくなります。

最初は「これくらいなら大丈夫」と思っていた作業が、ある日から急に重くなる。
業務には、そういう瞬間があります。
気づいたら、Excelと販売管理システムの間を反復横跳びしている。なかなかの運動量です。

基幹システムとつながることで、BtoB ECは本領を発揮する

BtoB ECは、単体で完結するよりも、社内の基幹システムや販売管理システムとつながることで、本来の価値を発揮しやすくなります。

たとえば、ECで受けた注文データを、販売管理システムやERPなどに連携できる設計にしておく。
在庫情報をEC側に反映する。
顧客情報や取引条件をシステム間で連動させる。

こうした連携ができると、発注側だけでなく、受注側の業務も整理しやすくなります。

GMOクラウドECでは、API連携やカスタマイズにより、基幹システム、販売管理システム、物流システムなどとの連携を前提にした構築にも対応できます。※1

BtoB ECは、表側の注文画面だけを見て判断すると、少し見誤ります。

本当に見るべきなのは、注文が入ったあとに、社内でどう処理されるかです。

ここまで設計できると、ECは“注文を受ける場所”から、“業務全体をつなぐ場所”に変わっていきます。

発注担当者がラクになる。
受注担当者もラクになる。
確認作業が減る。
入力ミスも減らしやすくなる。

この状態まで持っていけると、BtoB ECは単なるWeb上の注文窓口ではなくなります。
会社同士の取引を支える、ちゃんとした業務基盤になります。

“ラクさ”を設計できるECが、使われ続ける

BtoB ECが使われ続けるかどうかは、機能の多さだけでは決まりません。

大事なのは、発注担当者が日々の業務の中で、ちゃんとラクになっているかです。

初回は営業担当が支える。
2回目以降はECで迷わず注文できる。
過去の購入履歴からすぐ再注文できる。
ログインしたら、自社専用の価格や条件が表示されている。
見積、承認、注文までの流れが分断されていない。
API連携によって、受注後の社内処理までつながっている。

こうした要素は、単なる機能紹介ではありません。

発注担当者の日常を、どれだけ無理なく前に進められるかという設計の話です。

「便利なECを入れました」で終わると、使われない可能性があります。
「発注担当者がラクになる流れまで作りました」まで踏み込めると、BtoB ECは業務の中に入り込んでいきます。

まず見るべきは、自社の発注・受注フローです。

どこで確認が増えているのか。
どこで電話やメールに戻っているのか。
どこで担当者が迷っているのか。
どこで二重入力が発生しているのか。

そこをひとつずつ見ていくと、BtoB ECが本当に担うべき場所が見えてきます。

BtoB ECは、ただ注文をデジタル化するためのものではありません。
取引先とのやり取りを、もっと自然に、もっと続けやすくするための仕組みです。

発注担当者が「これなら前よりラクだ」と感じる。
その実感を設計できるかどうかが、BtoB EC定着の分かれ道になります。

GMOクラウドECは、そうしたBtoB特有の取引条件や運用フローを前提に、ECの表側だけでなく、業務の裏側まで見ながら設計できる選択肢です。

“使ってください”とお願いするECではなく、気づいたら業務の中に入っているECへ。

BtoB ECに必要なのは、取引先に新しい作業を押しつけることではありません。
「前より発注しやすい」と感じてもらえる流れを、こちら側がきちんと用意することです。

便利なだけでは、人は動きません。
ラクになってはじめて、日々の業務に残っていきます。

そこまで考えて設計することが、これからのBtoB ECには必要だと思っています。

参照

※1 GMOクラウドEC「BtoB受発注システム|ECサイト構築」

※2 MakeShop byGMO オンラインマニュアル「BtoBオプションについて」

※関連リンク:「GMOクラウドEC」公式サイト

この記事の著者

浦川 航平

浦川 航平 URAKAWA Kohei

株式会社 もずくとおはぎ 代表取締役 CEO

長崎県佐世保市出身。 経営者と芸術家。ふたつの顔を持つ男。

家具・プロダクトデザイナーから通販会社のダイレクトマーケッターを経て2012年にウェブ業界へ足を踏み入れ、2023年3月に独立。経営者の道へ。

「右脳」と「左脳」を自由に行き来する独自のスタイルで、戦略的なプロデュースと緻密なマネジメント、そして人の懐にスッと入る柔軟な人柄を武器に、数々のクライアントの本質的課題に切り込み、解決へと導いてきた。

2025年6月、「GMOクラウドEC」エバンジェリストに就任。
GMOメイクショップ株式会社との連携を通じて、EC領域のさらなる可能性を追求している。

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