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2026.09.17

越境ECは“翻訳”から始めない|海外モールで需要を確かめ、自社ECへつなぐ進め方

越境ECは“翻訳”から始めない|海外モールで需要を確かめ、自社ECへつなぐ進め方

越境ECの相談で、最初に「英語ページを作りたいんです」と言われることがあります。
そこで私が少し気になるのは、英語ページそのものではありません。

その商品、どの国で売れそうか分かっていますか?

ここが曖昧なまま、自社ECの多言語化から始めると、プロジェクトの順番が少し逆になります。

海外配送、決済、関税、返品、問い合わせ対応、商品や販売国によっては法規制への対応。
越境ECには、翻訳以外にも決めることがかなりあります。
それらを整えた後で「思ったより売れませんでした」となると、なかなかつらい。

だったら先に、売れるかどうかを確かめた方がいい。

越境ECは、海外向けECサイトを作るところからではなく、海外需要を検証するところから始める
私は、その順番の方が現実的だと思っています。

海外モールは「検証装置」になる

需要を確かめる方法のひとつが、海外ECモールへの出品です。

eBayなど、すでにお客様が集まっている市場に商品を出せば、自社EC全体を海外仕様にする前に反応を見ることができます。

ここで見たいのは、単純な売上だけではありません。

  • どの国から閲覧・注文があるのか
  • どの商品に反応が集中するのか
  • 価格を変えると反応はどう変わるのか
  • 送料を含めても購入される価格帯はどこか
  • 商品について何を質問されるのか
  • 日本では当たり前に伝わっていた情報のうち、何が海外では伝わらないのか

こうした情報が取れます。

つまりモールは、商品を販売する場所であると同時に、海外市場との答え合わせができる場所でもあります。
「海外で売れるか」を会議室で考え続けるより、実際に商品を置いて反応を見る。
その方が、次の判断材料はずっと増えます。

ジェトロの2025年度調査では、ECを利用または検討している企業のうち68.4%が、海外向け販売でECを活用、または検討していると回答しています。そのうち、日本国内から海外へ直接販売する越境ECは45.5%でした。

海外販売でECを使うこと自体は、もう珍しい選択肢ではなくなっています。

難しいのは「出品後」

とはいえ、海外モールに商品を載せれば終わり、という話でもありません。
商品登録、翻訳、受注管理、決済、海外配送、問い合わせ対応。
モールが増えれば、それだけ管理する場所も増えます。
販路は増えたのに、担当者の仕事まできれいに比例して増えた。これはあまり嬉しくない成長です。
だから越境ECでは、「どこに出品するか」と同じくらい、どう運用を集約するかが重要になります。

たとえば「Japan Finds byGMO」では、makeshopの商品データを活用しながら、海外向けの商品データ作成、翻訳、海外ECモールへの出品、海外配送、多言語でのカスタマーサポートなどを支援しています。

現在はJapan Findsへの掲載とeBayへの展開を軸に、Amazon、Walmart、Shopee、Lazadaなどへの連携も順次予定されています。

この仕組みで私が重要だと思うのは、「海外販売を代行してもらえる」という点だけではありません。
国内ECと海外販売の商品データや運用を、最初から分断しにくいことです。
越境ECを新しい別事業として立ち上げるのではなく、今あるEC運営の延長線上に置く。

この設計ができれば、海外販路が増えたときの運用負荷も抑えやすくなります。

モールか、自社ECか。ではない

越境ECを考えると、「海外モールに出すのか、自社ECを海外対応するのか」という話になりがちです。

でも、これは二者択一ではありません。
役割が違います。
モールは、すでに人がいる市場で商品の反応を確認しやすい。
一方、自社ECは、ブランドの背景や商品の価値を深く伝えたり、継続的な顧客接点をつくったりしやすい。

だから、
モールで検証する。
自社ECで深める。
この流れで考えればいいと思います。

特定の商品だけ海外で反応が良ければ、その商品から自社ECの商品情報を充実させる。
特定の国から注文が増えてきたら、その市場に合わせたコンテンツや決済、配送方法を整える。
リピートが増えてきたら、自社ECへどうつなぐかを考える。
つまり、海外向けECサイトを最初から完成させるのではなく、実績に合わせて海外対応の範囲を広げていく

この方が、投資判断としても筋が通っています。

最初に決めるのは「何語か」ではない

海外展開という言葉には、話を大きくする力があります。
多言語サイト。海外向けブランドページ。グローバルな決済基盤。
もちろん、必要になるタイミングは来るでしょう。
でも、それを最初から全部決める必要はありません。

先に決めたいのは、
どの商品を、どの市場で、どこまで試すのか。
ここです。

1商品でもいい。
1市場でもいい。

まず小さく出して、反応を見る。
売れたら広げる。
売れなければ、商品なのか、価格なのか、市場なのかを考える。
この順番なら、越境ECへの投資は「期待」ではなく「実績」を見ながら決められます。

自社ECの多言語化を先にやるかどうかではなく、何を確認してから次の投資に進むのかを決める。
越境ECで最初に設計すべきなのは、海外サイトではありません。
投資の順番です。
そこが決まれば、翻訳も、モールも、自社ECも、それぞれ必要なタイミングが見えてきます。

※参照
JETRO「2025年度 日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」
GMOグローバルECサービスページ
GMOメイクショップ「Japan Finds byGMO」提供開始プレスリリース(2026年2月9日)
GMOグローバルEC「Japan Finds byGMO」提供開始のお知らせ

※関連リンク:「GMOクラウドEC」公式サイト

この記事の著者

浦川 航平

浦川 航平 URAKAWA Kohei

株式会社 もずくとおはぎ 代表取締役 CEO

長崎県佐世保市出身。 経営者と芸術家。ふたつの顔を持つ男。

家具・プロダクトデザイナーから通販会社のダイレクトマーケッターを経て2012年にウェブ業界へ足を踏み入れ、2023年3月に独立。経営者の道へ。

「右脳」と「左脳」を自由に行き来する独自のスタイルで、戦略的なプロデュースと緻密なマネジメント、そして人の懐にスッと入る柔軟な人柄を武器に、数々のクライアントの本質的課題に切り込み、解決へと導いてきた。

2025年6月、「GMOクラウドEC」エバンジェリストに就任。
GMOメイクショップ株式会社との連携を通じて、EC領域のさらなる可能性を追求している。

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