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2025.11.05

マルチブランド展開を加速させるヘッドレスコマースの活用法

マルチブランド展開を加速させるヘッドレスコマースの活用法

ブランドが増えるたび、頭が痛くなるあの瞬間

ブランドがひとつのうちは平和なんです。
でも、二つ、三つと増えてくると──たちまち“運営地獄”が顔を出す。

在庫は分散、更新は二度手間、キャンペーンを打つたびに「この設定どこで変えるんだっけ?」
チームのチャットには「こっちのブランドだけ画像が反映されません!」の悲鳴。これ、全部「フロント(見た目)とバックエンド(中身)」が一体化しているから起きてるんです。
なら、分けちゃえばいい。
というシンプルな発想が、ヘッドレスコマースです。

ヘッドレスコマースって結局なに?

ざっくり言うと、お店の顔と中身を別々に育てるやり方です。
フロント(サイトデザインや導線)は自由に変えていい。
中身(在庫・受注・会員情報)はどのブランドでも共通。
この2つをAPIという“情報の配管”でつないで動かします。

つまり、“体はひとつ、顔はいくつでも持てる”構造。
マルチブランド展開にはまさにうってつけです。

たとえば、

  • 新しいブランドを立ち上げたい
  • アプリもやりたい
  • 実店舗と在庫を連携させたい

──そんな時でも、土台を壊さずに追加していける。

マルチブランドで効く3つのワザ

① バックヤードの共通化

在庫・顧客情報・ポイントなどをひとつの管理画面で統合。
ブランドをまたいで「この人、Aのサイトで〇〇買って、Bのサイトで△△買ってる」がわかる。
そのデータを活かして、ロイヤルティプログラムやレコメンドも横断展開できます。

② ブランドの“顔”を自由に作れる

ナチュラル派ブランドは余白多め、若者向けは動きを強めに。
同じ土台でも“見せ方”を変えられるのがヘッドレスの真骨頂。
いわば、同じ骨格を持つ別の生き物を育てるようなものです。

③ 新チャネルが怖くない

ネットスーパーもBtoBもアプリも、APIでスッとつなげる。
OMO施策だって、すでにあるデータを使えばいい。
“増やす”より“つなぐ”発想で、ブランド間の移動がシームレスになります。

every HOUSE(ハウス食品株式会社)|「おうち時間をもっとたのしく!」を支えるヘッドレス設計

ハウス食品が運営する公式通販サイト「every HOUSE」は、まさにマルチブランド戦略の成功例です。
食品メーカーとして、多様化する食のスタイルに応えるために誕生したこのサイトは、ヘッドレスコマースを活用して“ブランドごとの自由な表現”と“効率的な運用”を両立しています。

サイト概要とコンセプト

「every HOUSE」は、“おうち時間をもっとたのしく!”をコンセプトに、ハウス食品のWeb限定商品を中心に展開。
定番のカレーやスパイスではなく、「ちょっと特別」な体験を届けるラインナップです。
多様な食のスタイルを彩るブランドサイトとして、単なる販売サイトではなく“食の提案メディア”のような構成になっています。

ヘッドレス構成の仕組み

every HOUSEでは、

  • バックエンド(ECシステム)にGMOクラウドECのクラウドECプランを採用し、複数ブランドサイトのバックエンド一元管理を実現。
  • フロントエンド(CMS)はスクラッチ開発によって構築され、デザイン・レイアウトを自由にコントロール可能に。

スクラッチ開発ってなに?

スクラッチ開発とは、ゼロから自分たちの理想の形を設計していく開発方法のこと。
一般的なECサイトが「既製のテンプレートで建てた家」だとすれば、スクラッチ開発は“注文住宅”のようなものです。
土地選び(要件定義)から壁紙の色(UI設計)まで、すべて自分たちで決められる。

ヘッドレス構成では、バックエンド(在庫や決済などのシステム)はGMOクラウドECが担い、フロント(お店の顔)はスクラッチ開発で“完全オーダーメイド”に作り込めます。

このやり方によって、

  • デザインや導線をブランドの世界観に合わせて自由に設定できる
  • 最新技術を柔軟に導入できる
  • 運用しながらも老朽化しにくい構造にできる

つまり、every HOUSEのフロントは“自由に着せ替えできる服”のように設計され、
バックエンドの安定性とフロントの柔軟性が共存しているのです。

成果と特徴

(1) 商品の魅力を最大化するLP型構成

every HOUSEは、商品点数が多くない代わりに、1商品1ページ構成のLP型デザインを採用。
商品の世界観や背景を丁寧に描き出すことで、単なるスペック説明ではなく“ブランドストーリーを伝えるページ”へと進化しました。
視覚的にも、テキスト的にも、商品コンセプトに最適化された構成が、訴求力の高い体験設計を実現しています。

(2) マルチブランドの効率的な管理

バックエンドを共通化したことで、ハウス食品グループ内の複数ブランドサイトを同時にヘッドレス化
これにより、各ブランドの世界観を保ちながら、商品・在庫・顧客データの統合管理が可能となりました。
サイトの追加・更新・分析・改善までがスピーディに行える体制を構築し、グループ全体での運用効率とスピードを両立しています。

every HOUSEの取り組みは、まさに「ブランドごとに個性を出しながら、裏では共通の仕組みで動く」という理想的なマルチブランド戦略の形。
ヘッドレスコマースの強みを最大限に活かした好例といえます。

速く、自由に、ブランドらしく

ブランドごとに表現を変えながら、運営はひとつにまとめる。
ヘッドレスコマースは、その両立を叶える仕組みです。

  • ブランドの世界観を守りたい
  • 新しいチャネルを増やしたい
  • データをまとめて活かしたい

このどれかに心当たりがあるなら、次の一歩として“顔を分ける”発想を試してみてください。GMOクラウドECなら、ヘッドレス対応の仕組みをスモールスタートから導入できます。
「フロントの自由」「バックの安定」
この二刀流で、あなたのブランド展開はもっと軽く、速く、美しく動き出します。

※関連リンク:「GMOクラウドEC」公式サイト

この記事の著者

浦川 航平

浦川 航平 URAKAWA Kohei

株式会社 もずくとおはぎ 代表取締役 CEO

長崎県佐世保市出身。 経営者と芸術家。ふたつの顔を持つ男。

家具・プロダクトデザイナーから通販会社のダイレクトマーケッターを経て2012年にウェブ業界へ足を踏み入れ、2023年3月に独立。経営者の道へ。

「右脳」と「左脳」を自由に行き来する独自のスタイルで、戦略的なプロデュースと緻密なマネジメント、そして人の懐にスッと入る柔軟な人柄を武器に、数々のクライアントの本質的課題に切り込み、解決へと導いてきた。

2025年6月、「GMOクラウドEC」エバンジェリストに就任。
GMOメイクショップ株式会社との連携を通じて、EC領域のさらなる可能性を追求している。

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