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2026.04.01

ECは新規顧客とリピーター、どちらを優先すべき?

ECは新規顧客とリピーター、どちらを優先すべき?

ECを運営していると、かなり早い段階でぶつかる問いがあります。

売上を伸ばすなら、新規顧客を追うべきか。
それとも、既存顧客を育てるべきか。

この問い、いかにも経営っぽく見えるのですが、現場ではもっと切実です。
広告費を入れて新規を取りに行くべきなのか。
それとも、一度来てくれたお客様にもう一度買ってもらう仕組みを整えるべきなのか。

どちらも大事。これはその通りです。
でも、そこで話を終わらせると、だいたい何も決まりません。

大事なのは、いま自社がどのフェーズにいるのかを見極めて、優先順位を間違えないこと。
今回はその話を、きれいごとではなく、EC運営の現実に寄せて整理していきます。

まず結論。立ち上げ期は新規、成長期以降はリピートの比重を上げる

最初に結論から言います。

EC立ち上げ直後は、まず新規顧客の獲得が優先です。
まだ店の存在自体を知られていない状態で、リピーター施策を頑張っても、そもそも母数がいません。水の入っていないプールで泳ぎ方だけ練習しているようなものです。

一方で、ある程度お客様が集まり、購入データも少しずつ溜まってきたら、今度はリピーター育成の比重を上げる必要があります。

なぜか。
理由はシンプルで、新規獲得だけを追い続けるECは、広告費の給油を止めた瞬間に静かになるからです。

もちろん新規獲得は必要です。
ただ、それだけで走ろうとすると、毎回ゼロから口説くことになります。
毎日、初対面の相手に自己紹介して、名刺を渡して、覚えてもらって、ようやく買ってもらう。これ、なかなか骨が折れます。

その一方で、すでに一度買ってくれたお客様は、少なくとも「知らない店」ではありません。
ここをちゃんと育てられると、売上の質が変わってきます。

なぜリピーターが重要なのか。答えは「利益」と「安定」です

EC運営で地味に、でもものすごく効いてくるのがここです。
売上があることと、利益が残ることは、似ているようで別の話です。

新規顧客の獲得には、広告費や販促費がかかります。
当然、必要な投資です。
ただし、新規ばかりに依存すると、常に「次のお客様」を連れてこないといけない状態になります。言ってしまえば、バケツの底に小さな穴が開いているのに、上から必死で水を注いでいるようなものです。

ここでリピーターが増えてくると、状況が変わります。

一度買って満足してくれたお客様は、再購入してくれる可能性があります。
購入単価が上がることもあります。
ブランドへの理解も深くなります。
結果として、LTV(顧客生涯価値)が伸びていきます。

さらに大きいのは、リピーターは単なる「再購入者」では終わらないことです。
気に入ってくれたお客様は、SNSや口コミで店の話をしてくれることがあります。
つまり、次の新規顧客を連れてきてくれる可能性まである。

広告で一人ずつ連れてくるのも大事。
でも、本当に強いECは、買ってくれた人が次の集客装置にもなっていくんです。
ここまで回り始めると、ECは少しずつ“自走感”を持ち始めます。

リピーターを生むのは、派手な施策より「初回購入体験」の設計

ここ、かなり重要です。
リピーター施策というと、ポイント、クーポン、LINE配信、会員ランクなどを思い浮かべる方が多いのですが、その前に確認したいことがあります。

そもそも初回購入体験は、もう一度買いたくなる出来になっているか。

ここが抜けたまま後追い施策を増やしても、なかなか効きません。
例えるなら、初デートで微妙な空気になったのに、後日だけ必死に連絡を増やしている感じです。順番が逆です。

初めて買うお客様は、意外と不安を抱えています。
「ちゃんと届くかな」
「写真と実物が違わないかな」
「このサイトで決済して大丈夫かな」
「もし失敗したら面倒じゃないかな」

EC運営側は見慣れた自社サイトでも、お客様にとっては“初訪問の店”です。
だからこそ、初回購入の体験設計はかなり重要です。

商品が探しやすい。
情報が分かりやすい。
導線で迷わない。
決済時に不安を与えない。
必要なセキュリティ対策がきちんとある。
届いたときに期待を裏切らない。

この一連が整ってはじめて、
「またこの店で買おうかな」
が生まれます。

リピーターは、購入後の施策だけで作られるわけではありません。
最初の買い物で、次の買い物の種がまかれている。
まずはここです。

リピートしない理由は「不満」だけではない。「忘れられる」が意外と多い

もうひとつ、ECで見落とされがちな事実があります。
お客様が再購入しない理由は、何かに怒って離脱したからとは限りません。

実際には、
不満はない。でも、ただ思い出されなかった。
これ、かなりあります。

日常って忙しいんです。
みんな自分の生活で手いっぱいです。
昨日気に入ったブランドでも、来週には記憶の棚の奥に入っていることがあります。
人の記憶は、こちらが思うより雑です。かなり雑です。

だから、初回購入のあとに何もしないのは、もったいない。
「満足してくれたはずだから、また来てくれるだろう」は、EC運営における希望的観測の代表選手です。

必要なのは、しつこい追客ではありません。
思い出してもらうための、ちょうどいい接点設計です。

たとえば、メルマガやLINEで役立つ情報を届ける。
購入商品に関連する提案をする。
使い方や楽しみ方を伝える。
再購入のタイミングに合わせて自然に声をかける。

ここで大事なのは、「売り込み感」より「関係の継続」です。
ただ割引情報を投げるだけでは、価格でしかつながれません。
でも、ブランドの視点や価値が伝わる接点を作れると、「安いから買う」ではなく「ここで買いたい」に変わっていきます。

リピーターを増やすなら、“全員に同じことを言う運営”から抜ける

リピート率を上げたいなら、全員に同じアプローチをする運営には限界があります。

全員に同じメルマガ。
全員に同じクーポン。
全員に同じセール案内。

これ、運営としては楽です。
でも、お客様から見ると、自分向け感が薄い。
いわば、全員に同じサイズの服を配って「だいたい着られますよね」と言っている状態です。無理があります。

だから必要になるのが、顧客データを活用したパーソナライズ設計です。

過去の購入履歴。
閲覧履歴。
購入頻度。
カテゴリの好み。
離反しそうな兆候。

こうした情報をきちんと見ながら、お客様ごとに打ち手を変えていく。
この積み重ねが、リピート率をじわじわ押し上げます。

たとえば、
初回購入者には不安をほどくフォローを。
複数回購入者には次の提案を。
優良顧客には特別感のある体験を。

会員ランクやポイント制度、特典設計などのロイヤルティプログラムも有効です。
ただし、制度を置けば勝手に機能するわけではありません。
「何をすると嬉しいのか」が設計されていないポイント制度は、財布の中で存在感を失ったポイントカードと同じです。あるけど、心は動かない。

テクノロジーは“近道”ではない。でも、運営を強くする仕組みにはなる

ここでAIやAPI連携の話もしておきます。

最近は、AIでレコメンド、AIで接客、AIで分析、とにかくAIを付ければそれっぽく見える時代です。
便利ですし、実際に有効です。
ただ、先に言っておくと、AIは便利です。でも、運営の散らかりまで自動で片づけてはくれません。

とはいえ、うまく使えばかなり強い武器になります。

たとえば、API連携でCRMや分析基盤とつなぎ、顧客データを一元管理する。
そのうえで、購入履歴や行動データをもとに、適切なレコメンドを出す。
問い合わせ対応の一部をAIエージェントで支える。
再購入タイミングを見て配信を最適化する。

こうした仕組みが整うと、
「本当は一人ひとりに合わせて接客したいけれど、運営人数が足りない」
という壁を超えやすくなります。

つまりテクノロジーの価値は、目新しさではなく、運営の再現性にあります。
属人的な“できる人の勘”だけに頼らず、良い接客を仕組みとして回せるようにする。
ここに意味があります。

そして、ここまでの話を突き詰めていくと、結局ぶつかるのが「その運営を支える土台は十分か」という問題です。

新規顧客を集める施策も、リピーターを育てる施策も、やるべきこと自体は見えていても、
EC基盤がそれに追いついていなければ、現場はすぐに苦しくなります。
データがつながらない。
施策を増やすたびに運用が複雑になる。
やりたい接客はあるのに、仕組みが足を引っ張る。
これでは、せっかくの打ち手も“単発の頑張り”で終わってしまいます。

だから私は、ECを伸ばすうえで大事なのは、機能の多さだけではなく、
新規獲得とリピート育成の両方を、無理なく回し続けられる基盤かどうかだと考えています。

優先すべきなのは「どちらか」ではなく、「順番を間違えないこと」

新規顧客か、リピーターか。
この問いに対する答え、実は単純です。

立ち上げ期は新規を優先する。
成長期以降はリピート育成の比重を上げる。

そして最終的には、どちらか一方ではなく、両方が回る状態を作る。
これが王道です。

ただし、ここで肝心なのは、
新規を集める仕組み
初回購入で満足してもらう仕組み
再購入につなげる仕組み
顧客理解を深める仕組み
これらがバラバラではなく、ひとつの流れとしてつながっていることです。

ECは、商品を並べれば売れる時代ではありません。
広告を回せば伸び続ける時代でもありません。
大事なのは、一回の購入を、一回で終わらせない設計です。

もし今、
「新規は来るのに定着しない」
「リピート施策をやりたいのにデータが散らばっている」
「やりたいことに対してECの仕組みが追いついていない」
そんな課題があるなら、見直すべきは施策単体ではなく、土台のほうかもしれません。

新規も取れる。
リピーターも育つ。
その両輪をちゃんと回せるEC基盤があってこそ、売上は“瞬間風速”ではなく“続く力”になります。

だから私は、EC基盤を選ぶときに見るべきなのは、機能一覧の豪華さではなく、
事業の変化にちゃんとついてこられるか。新規獲得とリピート育成の両方を、現場が無理なく回せるか。
そこだと思っています。私がGMOクラウドECをすすめるのも、まさにそこが理由です。
広告も配信も特典も、施策そのものは増やせます。
でも、ECは打ち手の数だけでは伸びません。
その一手を支え、積み上げ、次につなげる土台があるかどうか。
結局、そこがいちばん効いてきます。

※関連リンク:「GMOクラウドEC」公式サイト

この記事の著者

浦川 航平

浦川 航平 URAKAWA Kohei

株式会社 もずくとおはぎ 代表取締役 CEO

長崎県佐世保市出身。 経営者と芸術家。ふたつの顔を持つ男。

家具・プロダクトデザイナーから通販会社のダイレクトマーケッターを経て2012年にウェブ業界へ足を踏み入れ、2023年3月に独立。経営者の道へ。

「右脳」と「左脳」を自由に行き来する独自のスタイルで、戦略的なプロデュースと緻密なマネジメント、そして人の懐にスッと入る柔軟な人柄を武器に、数々のクライアントの本質的課題に切り込み、解決へと導いてきた。

2025年6月、「GMOクラウドEC」エバンジェリストに就任。
GMOメイクショップ株式会社との連携を通じて、EC領域のさらなる可能性を追求している。

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