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これは、私たちの頭の中から、技術や知識、芸術や価値観を言葉で編み出すブログです。

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2025.08.01

「猫っぽい」は偶然じゃない。

「猫っぽい」は偶然じゃない。

その形に、“仕組まれた感覚”を

「もずくとおはぎ」という名前は、聞くだけで印象に残りますよね。
食品の会社?もずく?と、おはぎ?──確かに、そう思われても 不思議ではありません。

実は、この社名、代表・浦川が飼っている2匹の愛猫の名前が由来なのです。

  • 落ち着きがあり、理性的な「もずく」
  • 本能で動く、好奇心旺盛な「おはぎ」

私たちの事業領域には、IT・Webの分野と、芸術・表現の分野があります。
その中で「もずく」は【左脳=理性的=構想・戦略・分析力】、
「おはぎ」は【右脳=本能的=直感・自由な発想】として、
それぞれのスタンスを象徴する存在になっています。

異なる思考や領域を掛け合わせ、そこにシナジーを生む。
それが社名に込めたコンセプトであり、ロゴもまた、この考え方をかたちに落とし込むことから取り掛かりました。

たまに、ロゴを見て「猫ですか?」と聞かれることがあります。
ちょっと嬉しくなります。
なぜなら、このロゴの狙いはまさにそこ。
“猫に見える”のではなく、“猫っぽく見える”くらいの抽象度を目指していたからです。

感覚から、導き出す構造

「適当にロゴ作ってください」
たまに、そんなふうに軽く言われることがあります。
でも実際には、「この方向だ」と思えるまでに100以上のスケッチを描くことも少なくありません。

関係ない落書きも混じっていますが、それすらも大事なプロセス。
しっくりこないときは、手を動かし続けながら、何を足して、何を引くかを探っていく作業になります。

もずくとおはぎの例にすると、最初に浮かんだのは、「円と円の対比」というアイデアでした。
右脳と左脳──この2つをどうやって図形でどう表現するか?

円を描いては重ね、傾け、ずらしてみる。
左右非対称にしたり、完全な対称を崩してみたり。
そしてその中で、「猫っぽい」シルエットを感じる瞬間を探していく。

最終的には、右脳と左脳のかたちから着想を得た半円を交差させる構造が、イメージ通りの形として残りました。

感覚で始まり、思考で整え、構造に落とし込んでいく。
そうしてようやく、「これだ」と言える一案が見えてきます。

感覚を、構造に落とし込む。

形が定まったあとに取り組んだのは、「構造を仕込む」という作業でした。

たとえば、黄金比(1:1.618)や白銀比(1:1.414)をベースに、円の配置、重なり方、耳の角度、余白の取り方まで細かく設計しました。

これは、見たときに「なんか気持ちいい」と思える理由を、偶然ではなく、必然に変えるためのデザインです。
媒体が変わっても、時間が経っても、印象が崩れないように、“感覚”ではじまったものを、“構造”へと着地させ、このロゴの「耐久性」を強化していく作業になります。

語ることで、ロゴは育っていく。

このロゴをつくるとき、「全員が意味を語れるようにしよう」なんて、言葉にしていたわけじゃありません。
もちろん、そうなることを理想とはしています。

ただ、もずくとおはぎのメンバー5人とも、みんながそれぞれの言葉で、ロゴについて語れます。
猫のこと。名前のこと。図形の意味。感覚と構造の話。
どこかで聞いた説明をなぞるんじゃなくて、ちゃんと自分たちのものとして語っています。

「かわいい」「おしゃれ」も大事。
でもその奥に、“なぜこれなのか”を話せる何かがあること。
それがたぶん、長く残るロゴのかたちなんじゃないかと思っています。

社名であれ、商品であれ、サービスであれ、それに携わる人が、そのロゴについて語れることが、ロゴとして理想形です。

語ることで、自然と愛着が生まれ、伝える熱量が高まり、結果として、ロゴ自体が育っていくものだと思います。
ロゴが育つというのは、ただ印象が定着するということではなく、思考や造形の背景が、チームやプロジェクトの中で浸透し、時間とともに耐久性を増していくことだと思っています。

そのためには、まず気に入ってもらうことが大事ですし、「カッコイイ」「オシャレ」「カワイイ」「好きだ」と思える感覚的な魅力が重要です。
だからこそ、感覚から構造へのプロセスを大切にしています。

ロゴ制作に関するお悩みなどございましたら、お気軽にご相談ください!

この記事の著者

原 暢平

原 暢平 HARA Yohei

株式会社 もずくとおはぎ CCO

落ち着いた物腰と柔らかな佇まいの中に、青い炎のような熱を秘めている。

妥協を一切許さない彼のスタンスは、細部にまで理由を宿したデザインを紡ぎ出すため。
その設計へ一貫して注がれる美意識は、まさに職人技。

どこまでも貪欲に高みを目指し、進化していく自分を楽しみながらクリエイティブと向き合っている。

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