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2026.07.21

見た目と使いやすさは、両立できる。

見た目と使いやすさは、両立できる。

「かっこいいデザインにすると、使いにくくなる」と言われることがあります。

なんとなく、そういうものだと受け入れられている節もある。でも、両立できないのではなく、つくり方の問題だと思っています。


どちらが先か、って話じゃない。

UIをつくるとき、見た目から入るか、使い勝手から入るか。

ビジュアルを先に固めすぎると、後から使いやすさを考えても調整しづらくなります。逆に、使いやすさだけを追いかけると、機能は足りているのになんか触りたくない画面になる。

どちらかに寄りすぎると、どこかで無理が出てくる。たとえばボタンひとつ動かすにも、「デザインが崩れる」か「導線が悪くなる」かの二択を迫られる。そういう状況になったとき、たいていどちらかが我慢することがなります。

ビジュアルとUXは、別々に考えるものではなく、最初から同じ方針の中にあるものだと思っています。「見た目をどうするか」を考えながら、同時に「どう使われるか」を想像する。その両方の視点を持ちながら設計することが、結果的に遠回りしないやり方だと思っています。


ごちゃごちゃして見えるのは、なぜ?

UIをつくるとき、「何をどこに置くか」の判断が、思った以上に体験を左右します。

重要な情報が埋もれていたり、関連する要素がバラバラに配置されていたりすると、ユーザーは無意識に疲弊していきます。画面が複雑に見えるのは、要素が多いからではなく、優先順位が整理されていないことが原因であることが多い。

たとえば、ECサイトのカート画面。SKU・重量・ブランド・ポイント還元が商品名と同じ重さで並んでいると、ユーザーはどこから見ればいいかわからなくなります。合計金額もボタンも、すべてが同列に主張している状態です。

試しにちょっと作ってみました。

どうでしょう?
優先順位を整理するだけで、同じ情報量でもぐっと使いやすくなる。情報を減らしたわけではなく、順番と見せ方を整理しただけで、体験はずいぶん変わります。

情報設計の基本は、「何を一番伝えたいか」を決めることです。優先順位の順番に要素を並べていくと、自然と画面がすっきりしていきます。逆に、伝えたいことが整理されていない状態でレイアウトを組もうとすると、どこに何を置いても「なんかごちゃごちゃする」という感覚が抜けない。

ビジュアルの判断も、この優先順位が決まって初めて意味を持ってきます。目立たせる場所、引く場所、余白をとる場所——すべて、情報の優先順位から導かれていきます。


揃っていることが、正義?

色・フォント・余白のルールが画面全体で揃っていると、ユーザーは無意識に「このサービスは信頼できる」と感じます。

逆に、ページによってボタンの色が違ったり、フォントサイズがバラバラだったりすると、内容以前に「なんか不安」という印象を与えてしまう。ユーザーが意識するより先に、体験の質が下がっていきます。

一貫性というのは、見た目の話だけではありません。同じ操作をしたとき、同じ結果が返ってくる。同じ種類の情報は、同じ場所にある。そういう「予測できる動き」がUIの中に揃っていることが、ユーザビリティの土台になります。ユーザーが迷わないのは、画面がきれいだからではなく、次に何が起きるか予測できるからです。

一貫性はブランドアイデンティティの話でもあり、ユーザビリティの話でもあります。見た目を揃えることが、そのまま使いやすさにつながっていく。ビジュアルとUXが重なる部分として、一貫性は特に意識しています。


余白って、手抜きじゃない。

余白を多くとると「情報が少ない」「手抜きに見える」と感じる人がいます。

でも余白は、読む人の目を休ませ、次の情報を受け取る準備をさせるためにあります。詰め込んだ画面は、情報量が多いように見えて、実際には何も伝わっていないことが多い。余白をとることは、サボりではなく、「何を伝えるか」を絞った結果です。

Appleのサイトがわかりやすい例です。製品ページは余白が多く、一見情報が少ないように見える。でも、見た瞬間に「何を伝えたいか」が伝わってくる。余白があるからこそ、製品そのものに目が向く。あの設計は、引き算の積み重ねです。

最近は、画面をじっくり読むより、流し見で情報を取る人が増えています。そういう見られ方を前提にすると、余白の役割はさらに大きくなる。詰まった画面は流し見された瞬間に離脱されやすく、余白があることで視線が止まりやすくなります。

ビジュアル的にも、余白があることでコンテンツの存在感が増します。UX的にも、認知負荷が下がり、ユーザーが迷いにくくなる。余白はビジュアルとUXが同時に機能する、数少ない要素のひとつだと思っています。


見た目が、体験を支える。

かっこいいデザインと使いやすいデザインは、相反するものではありません。

ビジュアルが整っていると、ユーザーは「このサービスは信頼できる」という印象を最初の数秒で持ちます。それ自体が、UXの一部です。第一印象が体験の入り口になる。どんなに使いやすい設計をしていても、最初の印象で離脱されてしまえば、その体験は届かない。

見た目の良さが、使う前の安心感をつくる。使いやすさが、使い続ける理由をつくる。どちらも、ユーザー体験を支えています。

ビジュアルとUXを切り離して考えない。それだけで、体験の質はずいぶん変わると思っています。

この記事の著者

原 暢平

原 暢平 HARA Yohei

株式会社 もずくとおはぎ CCO

落ち着いた物腰と柔らかな佇まいの中に、青い炎のような熱を秘めている。

妥協を一切許さない彼のスタンスは、細部にまで理由を宿したデザインを紡ぎ出すため。
その設計へ一貫して注がれる美意識は、まさに職人技。

どこまでも貪欲に高みを目指し、進化していく自分を楽しみながらクリエイティブと向き合っている。

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