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2026.10.27

ひとつの形の、その手前。

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ロゴって、完成したものだけを見ると、すごくシンプルに見えることがあります。

丸だったり、線だったり、単純な図形の組み合わせだったり。

でも、その形に一発でたどり着いたかというと、もちろんそんなことはありません。

自分の場合、最終的にはシンプルな一つの形になっていても、その裏ではかなりの数のラフを描いています。

おそらく、多くのデザイナーが何百ものスケッチを繰り返しながら、ひとつの造形にたどり着いているんじゃないかと思います。

今回は、その一つの形にたどり着くまでに何をしているのか。改めて振り返ってみます。

まずは、言葉から。

ロゴを考えるとき、私の場合、まず言葉の意味や、その由来から入ります。

ブランドやサービスについて考えながら、思いつく言葉を、とにかく書き出していく。

そして、ある程度出てきたら、今度はその言葉同士の共通点を探していきます。

「何を基準に共通点を見つけているのか?」

と聞かれると、ここはちょっと難しい。

意味なのか、印象なのか、それとも別の何かなのか。

案件によっても違うので、自分でも一言では説明できません。

ただ、いろいろな言葉を並べて見ていると、

「この辺に何かありそうだな」

というものが出てきます。

もちろん、一つの方向にまとまるわけではなく、全然違う方向性が出てくることもあります。

そこから、今度は手を動かしていきます。

ここから、何百回。

ラフを描き始めても、一つの形を決めて、それを完成させていくわけではありません。

描いて、また描いて。

同じような形を何度も描くこともあれば、少し変えてみたり、まったく別の方向を試してみたり。

そうやって、かなりの数を描いていきます。

正確に数えたことはありませんが、感覚的には何百というくらい。

最終的に世に出るのは、一つのシンプルな形です。

完成したロゴだけを見ると、それまでに描いたものは見えません。

一発ですごい形を思いついたわけではなくて、何百と描いたものの先に、その一つがあります。

消すというより、残す。

では、その中からどうやって一つにしていくのか。

改めて考えてみると、自分の場合は、ダメなものを順番に消していくというより、気になるものを残していく感覚の方が近いです。

最初のきっかけは、かなり感覚的です。

たくさん並んでいる中で、なぜか目が止まる。

「なんか、これ気になるな」と。

ただ、もちろん「なんかいい」で、そのまま残しているわけではありません。

なぜ目が止まったのか。
この形のどこに惹かれたのか。
最初に考えていた言葉や意味と、どうつながっているのか。

感覚的に引っかかったものに対して、自分なりに理由を探して、言葉にしていきます。

そこでちゃんと根拠が見つかるものもあれば、考えていくうちに「やっぱり違うな」となるものもある。

たぶん自分にとっての「なんか気になる」は、答えというより、考え始めるためのきっかけなんだと思います。

最初からすべてを理屈で選んでいるわけでもないし、感覚だけで決めているわけでもない。

感覚で引っかかって、そこから理由を探していく。

そうやって、残す形を少しずつ絞っていきます。

一度、時間を置いて、また見る。

気になるものが出てきても、その場ですぐに「これでいこう」と決めるわけではありません。

一度、時間を置いて、また見る。

それでも、やっぱり目が止まるのか。

気になる案がいくつか残っていても、一つずつ点数をつけて優劣を決めるというより、何度も見ているうちに、その中の一つが際立って見えてくることがあります。

そこから、さらに形を詰めていきます。

一方で、残らなかったラフは、基本的にはもう見返しません。

「もったいないから、別の案件で使おう」

ということもないです。

そのロゴを考えるために描いたものなので、そこで役目は終わり。

何百枚描いたとしても、最後に表に出るのは一つだけです。

シンプルな形の、その裏側。

こうして改めて振り返ってみると、ロゴをシンプルにするために、最初からシンプルに考えているわけではないんだなと思います。

むしろ、逆なのかもしれません。

言葉をたくさん出して、ラフもたくさん描く。

気になったものを残して、また描く。

時間を置いて、もう一度見る。

その繰り返しの先に、最後の一つが残ります。

完成したロゴだけを見れば、そこまでの過程は全部なくなって、シンプルな形だけが残る。

でも、その一つの形の裏側には、表には出なかった何百もの形があります。

シンプルだから、簡単だったわけではない。

たくさん考えて、たくさん描いて、いろいろな可能性を試した結果として、最後にシンプルな一つが残った。

ロゴをつくるとき、自分はそんなふうに、一つの形を探しているんだと思います。

この記事の著者

原 暢平

原 暢平 HARA Yohei

株式会社 もずくとおはぎ CCO

落ち着いた物腰と柔らかな佇まいの中に、青い炎のような熱を秘めている。

妥協を一切許さない彼のスタンスは、細部にまで理由を宿したデザインを紡ぎ出すため。
その設計へ一貫して注がれる美意識は、まさに職人技。

どこまでも貪欲に高みを目指し、進化していく自分を楽しみながらクリエイティブと向き合っている。

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