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2025.11.14

プロンプトは呪文じゃない。ビジネス現場での“問い方”入門

プロンプトは呪文じゃない。ビジネス現場での“問い方”入門

なぜAIに頼んでもピンとこないのか?

AIを使ってみたけど「うーん、なんかピンとこない」と思ったことありませんか?
せっかく期待して投げかけたのに、返ってきた答えは「え、そこ?」みたいなズレ感。AIがポンコツ(は言い過ぎ。ごめんなさいAIちゃん)だから…と思いがち(わたしは思ってません。いいえたまに思います。ごめんなさいAIちゃん)ですが、実は原因はこっちの“問い方”にあることが多いんです。

世間では「プロンプト=呪文」と例えられることもあります。けれど、唱えれば勝手に理想の文章が出てくる呪文ではありません。むしろ“会話の延長”に近いもの。だからこそ、問い方さえ磨けばAIはビジネス現場で頼れるパートナーに変わります。ちょっと心強い同僚みたいに。

プロンプトって、結局なんぞや?

横文字でカッコいい感じを気取っていますが(いやこれはわたしの偏見です)、プロンプトはただの“AIへのお願いの仕方”
「この資料まとめて」もプロンプトだし、「新人向けに、3分で説明できるように、箇条書きで」なんて条件つきで頼めば、それもプロンプトです。

つまり、プロンプトとはAIに話しかけるための“スタートの一言”。特別な暗号を唱える必要はなく、普段の会話を少し丁寧にするくらいの感覚で大丈夫。変に構えず、まずは「お願いごと」と考えれば十分です。

AIはエスパーじゃない——現場で起きているズレ

AIに「いい感じでまとめて」なんてお願いをすると、大体“AIなりのいい感じ”が返ってきます。こっちの思ってた“いい感じ”とはズレていて、「いや、そうじゃないんだよ…」と頭を抱えることもしばしば。

曖昧な指示の罠

「もっと分かりやすく」「いい感じに直して」。便利なフレーズだけど、具体性ゼロ。人に頼んでもよほどの経験値とこれまでのコミュニケーションが成立していないと困るやつです。AIも同じで、基準を伝えなければ自分流に解釈して返してきます。

業務改善につながらない使い方

「とりあえずAIに聞いてみよう」で終わっていませんか?
そのままではちょっと賢いツール止まり。AIを仕事で役立てたいなら「どこを効率化したいのか」を決めて使わなければ、時間の節約にも成果アップにもつながりません。

AIを味方につける“問い方”のレッスン

ではどうすれば、AIを「思った通りに動いてくれる相棒」にできるのか。コツはシンプル。“問い方”を設計することです。

誰に向けて書くのかを伝える

対象がぼやければ答えもぼやけます。
「新人研修用」「顧客プレゼン用」「社内メール用」など、読み手の顔をはっきり伝えるだけでAIの出力は見違えるように変わります。

目的をセットで伝える

「短時間で理解してほしい」のか「説得力を高めたい」のか。同じ要約でも目的が違えば求める形はまるで違います。目的はAIにとっての“ナビアプリ”。行き先を伝えなければ迷子になります。

形式を指定する

文章、箇条書き、表、SNS投稿風。形式を伝えるだけで「そのまま使える」答えに近づきます。形式を指定しないと、だいたい長文が返ってきて「いや、Excelに貼りたいんだよ…」などとため息をつく羽目に。

悪いプロンプト例 vs 良いプロンプト例

悪いプロンプト例

  • 「なんかいい感じにまとめて」
    → AI「はい!(ドヤ顔)」→結果、5,000字のポエム。
  • 「メール考えて」
    → AI「承知しました!(ドヤ顔)」→結果、「拝啓、時下ますますご清祥のことと…」で始まる超お堅い挨拶文。

    ※AIのドヤ顔を見たことある方はご連絡ください。

良いプロンプト例

  • 「新人研修用に、3分で話せるような要点を5つ、箇条書きでまとめて」
    → そのまま研修資料に貼れる、時短アウトプット。
  • 「30代女性向けに、新商品の紹介メールを作成。件名は20文字以内、本文は親しみやすく」
    → すぐ使える“営業のお助け草稿”。

悲劇?!AIにとって悪夢のプロンプト

AIが一番困るのは、条件が曖昧すぎたり矛盾していたりするリクエスト。

  • 「かっこよくて可愛くて面白くて感動的でシンプルで複雑な文章を」
    → AI「…えっと、矛盾してますよね?」と内心パニック。
  • 「未来について詳しく説明して。ただし根拠も必ず提示して」
    → AI「タイムマシンがないので未来の根拠は出せません!」と苦笑い。
  • 「一言でまとめて。だけど詳しく」
    → 「どっちだよ!?」とAIの中でエラー音が鳴る。

ちなみに、筆者は以前「思考が停止しました」とAIから衝撃の告白をされた経験があります。
「悪夢プロンプト」は、笑い話で済めばいいですが、実務では時間の無駄に直結します。
つまり「AIを困らせる=自分を困らせる」ことになるのです。

条件は“必須”と“おまけ”に分ける

「件名は20文字以内(必須)、ちょっとユーモアを効かせて(おまけ)」
このようなお願いの仕方だと、AIはブレずに答えられます。

ステップを分けて会話する

「まず要点だけ→次に肉付け→最後にトーン調整」
小分けにしてやりとりすると、AIはだんだんこちらの好みに寄せてくれるようになります。
一発勝負より、何度かキャッチボールする方が結果的に早いんです。

業務フローに直結させる

AIを“便利なおしゃべり相手”で終わらせないために、業務にそのまま流し込める形を意識しましょう。
議事録なら「決定事項・宿題・確認事項」、タスクなら「優先度・担当・期限」。
構造化を頼むだけで「議事録が即タスクリスト」みたいなことも可能です。

思考整理のツールとして使う

プロンプトを考える過程で、自分の頭の中も整理されます。
「誰に?」「何のために?」を言語化することで、AIを使う前に自分の考えがクリアになる。
プロンプトはAIを動かすためだけじゃなく、自分の脳内ホワイトボードにもなるんです。

プロンプト力で得られるもの、気をつけたいこと

得られるもの

  • 指示を整理するだけで、自分の考えがクリアになる
  • 業務改善が加速して「残業が減る」などのリアルな副産物
  • チーム全体で共通言語ができ、AI活用が“当たり前”になる

気をつけたいこと

  • 条件を盛り込みすぎるとAIが混乱して迷子になる
  • 「AIが全部やってくれる」と過信すると、人間の判断力が鈍る
  • 情報の正確性チェックはやっぱり人間の仕事

すぐに使える!プロンプト設計チェックリスト

AIにお願いするとき、次のポイントを思い出してください。

  • 誰に向けたものか?(新人向け?お客さま向け?上司向け?)
  • 目的は何か?(時間短縮?説得力?整理整頓?)
  • 形式はどうする?(文章?箇条書き?表?SNS投稿風?)
  • 必須条件とおまけ条件を分けた?
  • 一発勝負せず、段階的にやりとりしている?

この5つを押さえるだけで、AIとのやりとりはグッとスムーズになるはずです。

呪文じゃなく設計図を手に入れよう

プロンプトは呪文ではありません。問い方をちょっと工夫するだけで、AIは「便利なツール」から「業務改善の加速装置」へと変貌します。

次にAIを使う際は
「誰に・何のために・どの形式で」を
添えて指示してみてください。
返ってくる答えの質が変わって、
「お、やるじゃんAI!」と
ニヤッとする瞬間がきっと訪れます。
(真顔の猫を添えて)

AIはあなたの問いを映す鏡。
映し出す姿がクリアであればあるほど、返ってくる答えもクリアになります。
そしてもうひとつ大事なこと——AIを困らせないであげましょう。
曖昧すぎたり矛盾だらけの指示は、あなたの時間もAIのエネルギーも無駄にします。
相棒に無茶ぶりせず、ちょっと気の利いた問い方を心がけることが、成果を最大化する近道です。

さあ今日から、“問い方の練習”を楽しんで始めてみてください。

AIに関するお悩み事、愚痴、自慢、お気軽にどうぞ。

この記事の著者

波戸本 奈津

波戸本 奈津 HATOMOTO Natsu

株式会社 もずくとおはぎ COO

まるで呼吸をするかのように繰り出されるきめ細やかな気配りと先回り。
研ぎ澄まされた解読力で瞬時に本質を見抜き、最適な道筋を描き出す。

洗練された所作と、常に「面白い」を携えた感性は、チームに余裕と品格をもたらす。
その存在は羅針盤となり、組織の歩みを確かな成長へと導いている。

2025年6月、生成AIパスポートGoogle Prompting Essentialsを取得
AIへの探究は、彼女の羅針盤をさらに磨き上げ、組織の未来に新しい道筋を照らしている。

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