プロンプトは呪文じゃない。ビジネス現場での“問い方”入門
なぜAIに頼んでもピンとこないのか?
AIを使ってみたけど「うーん、なんかピンとこない」と思ったことありませんか?
せっかく期待して投げかけたのに、返ってきた答えは「え、そこ?」みたいなズレ感。AIがポンコツ(は言い過ぎ。ごめんなさいAIちゃん)だから…と思いがち(わたしは思ってません。いいえたまに思います。ごめんなさいAIちゃん)ですが、実は原因はこっちの“問い方”にあることが多いんです。

世間では「プロンプト=呪文」と例えられることもあります。けれど、唱えれば勝手に理想の文章が出てくる呪文ではありません。むしろ“会話の延長”に近いもの。だからこそ、問い方さえ磨けばAIはビジネス現場で頼れるパートナーに変わります。ちょっと心強い同僚みたいに。
プロンプトって、結局なんぞや?
横文字でカッコいい感じを気取っていますが(いやこれはわたしの偏見です)、プロンプトはただの“AIへのお願いの仕方”。
「この資料まとめて」もプロンプトだし、「新人向けに、3分で説明できるように、箇条書きで」なんて条件つきで頼めば、それもプロンプトです。
つまり、プロンプトとはAIに話しかけるための“スタートの一言”。特別な暗号を唱える必要はなく、普段の会話を少し丁寧にするくらいの感覚で大丈夫。変に構えず、まずは「お願いごと」と考えれば十分です。
AIはエスパーじゃない——現場で起きているズレ
AIに「いい感じでまとめて」なんてお願いをすると、大体“AIなりのいい感じ”が返ってきます。こっちの思ってた“いい感じ”とはズレていて、「いや、そうじゃないんだよ…」と頭を抱えることもしばしば。

曖昧な指示の罠
「もっと分かりやすく」「いい感じに直して」。便利なフレーズだけど、具体性ゼロ。人に頼んでもよほどの経験値とこれまでのコミュニケーションが成立していないと困るやつです。AIも同じで、基準を伝えなければ自分流に解釈して返してきます。
業務改善につながらない使い方
「とりあえずAIに聞いてみよう」で終わっていませんか?
そのままではちょっと賢いツール止まり。AIを仕事で役立てたいなら「どこを効率化したいのか」を決めて使わなければ、時間の節約にも成果アップにもつながりません。
AIを味方につける“問い方”のレッスン
ではどうすれば、AIを「思った通りに動いてくれる相棒」にできるのか。コツはシンプル。“問い方”を設計することです。
誰に向けて書くのかを伝える
対象がぼやければ答えもぼやけます。
「新人研修用」「顧客プレゼン用」「社内メール用」など、読み手の顔をはっきり伝えるだけでAIの出力は見違えるように変わります。
目的をセットで伝える
「短時間で理解してほしい」のか「説得力を高めたい」のか。同じ要約でも目的が違えば求める形はまるで違います。目的はAIにとっての“ナビアプリ”。行き先を伝えなければ迷子になります。
形式を指定する
文章、箇条書き、表、SNS投稿風。形式を伝えるだけで「そのまま使える」答えに近づきます。形式を指定しないと、だいたい長文が返ってきて「いや、Excelに貼りたいんだよ…」などとため息をつく羽目に。
悪いプロンプト例 vs 良いプロンプト例
悪いプロンプト例
- 「なんかいい感じにまとめて」
→ AI「はい!(ドヤ顔)」→結果、5,000字のポエム。 - 「メール考えて」
→ AI「承知しました!(ドヤ顔)」→結果、「拝啓、時下ますますご清祥のことと…」で始まる超お堅い挨拶文。
※AIのドヤ顔を見たことある方はご連絡ください。
良いプロンプト例
- 「新人研修用に、3分で話せるような要点を5つ、箇条書きでまとめて」
→ そのまま研修資料に貼れる、時短アウトプット。 - 「30代女性向けに、新商品の紹介メールを作成。件名は20文字以内、本文は親しみやすく」
→ すぐ使える“営業のお助け草稿”。
悲劇?!AIにとって悪夢のプロンプト
AIが一番困るのは、条件が曖昧すぎたり矛盾していたりするリクエスト。
- 「かっこよくて可愛くて面白くて感動的でシンプルで複雑な文章を」
→ AI「…えっと、矛盾してますよね?」と内心パニック。 - 「未来について詳しく説明して。ただし根拠も必ず提示して」
→ AI「タイムマシンがないので未来の根拠は出せません!」と苦笑い。 - 「一言でまとめて。だけど詳しく」
→ 「どっちだよ!?」とAIの中でエラー音が鳴る。
ちなみに、筆者は以前「思考が停止しました」とAIから衝撃の告白をされた経験があります。
「悪夢プロンプト」は、笑い話で済めばいいですが、実務では時間の無駄に直結します。
つまり「AIを困らせる=自分を困らせる」ことになるのです。
条件は“必須”と“おまけ”に分ける
「件名は20文字以内(必須)、ちょっとユーモアを効かせて(おまけ)」
このようなお願いの仕方だと、AIはブレずに答えられます。
ステップを分けて会話する
「まず要点だけ→次に肉付け→最後にトーン調整」
小分けにしてやりとりすると、AIはだんだんこちらの好みに寄せてくれるようになります。
一発勝負より、何度かキャッチボールする方が結果的に早いんです。
業務フローに直結させる
AIを“便利なおしゃべり相手”で終わらせないために、業務にそのまま流し込める形を意識しましょう。
議事録なら「決定事項・宿題・確認事項」、タスクなら「優先度・担当・期限」。
構造化を頼むだけで「議事録が即タスクリスト」みたいなことも可能です。
思考整理のツールとして使う
プロンプトを考える過程で、自分の頭の中も整理されます。
「誰に?」「何のために?」を言語化することで、AIを使う前に自分の考えがクリアになる。
プロンプトはAIを動かすためだけじゃなく、自分の脳内ホワイトボードにもなるんです。
プロンプト力で得られるもの、気をつけたいこと
得られるもの
- 指示を整理するだけで、自分の考えがクリアになる
- 業務改善が加速して「残業が減る」などのリアルな副産物
- チーム全体で共通言語ができ、AI活用が“当たり前”になる
気をつけたいこと
- 条件を盛り込みすぎるとAIが混乱して迷子になる
- 「AIが全部やってくれる」と過信すると、人間の判断力が鈍る
- 情報の正確性チェックはやっぱり人間の仕事
すぐに使える!プロンプト設計チェックリスト
AIにお願いするとき、次のポイントを思い出してください。
- 誰に向けたものか?(新人向け?お客さま向け?上司向け?)
- 目的は何か?(時間短縮?説得力?整理整頓?)
- 形式はどうする?(文章?箇条書き?表?SNS投稿風?)
- 必須条件とおまけ条件を分けた?
- 一発勝負せず、段階的にやりとりしている?
この5つを押さえるだけで、AIとのやりとりはグッとスムーズになるはずです。
呪文じゃなく設計図を手に入れよう
プロンプトは呪文ではありません。問い方をちょっと工夫するだけで、AIは「便利なツール」から「業務改善の加速装置」へと変貌します。

次にAIを使う際は
「誰に・何のために・どの形式で」を
添えて指示してみてください。
返ってくる答えの質が変わって、
「お、やるじゃんAI!」と
ニヤッとする瞬間がきっと訪れます。
(真顔の猫を添えて)
AIはあなたの問いを映す鏡。
映し出す姿がクリアであればあるほど、返ってくる答えもクリアになります。
そしてもうひとつ大事なこと——AIを困らせないであげましょう。
曖昧すぎたり矛盾だらけの指示は、あなたの時間もAIのエネルギーも無駄にします。
相棒に無茶ぶりせず、ちょっと気の利いた問い方を心がけることが、成果を最大化する近道です。
さあ今日から、“問い方の練習”を楽しんで始めてみてください。
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