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2026.06.04

売れない原因は“商品”じゃなく、“たどり着き方”かもしれない

売れない原因は“商品”じゃなく、“たどり着き方”かもしれない

商品は悪くない。でも、買うまでの道が遠い。

商品には自信がある。
SNSの反応も悪くない。
アクセス数も、そこまで悲観する数字ではない。

なのに、売上に結びつかない。

ECを見ていると、こういう状態に出会うことがあります。

このとき、多くの人はまず商品を疑います。

「価格が高いのかな」
「写真が弱いのかな」
「もっと機能を伝えたほうがいいのかな」

もちろん、それも大事です。
ただ、現場で見ていると、商品そのものではなく、商品にたどり着くまでの道のりでつまずいているケースがかなりあります。

言い方を変えると、商品はちゃんと立っている。
でも、お客様がそこまで歩いてこられない。

商品が悪いのではなく、道案内が雑。
これ、ECではなかなか手ごわい問題です。

そこで今回は、SNSからECへの流入も含めて、売上につながる「導線設計」について考えていきます。

「導線」と「動線」をごちゃ混ぜにすると、改善がズレる

まず、整理しておきたいことがあります。

導線は、こちらが設計した道筋です。
お客様に「こう進んでほしい」と考えて用意するルートのこと。

一方で、動線は、お客様が実際にたどった道筋です。
どのページから入り、どこを見て、どこで離れたのか。その足跡です。

この2つは似ていますが、まったく別物です。

たとえば、運営側としては、

「SNS投稿を見た人が商品ページに入り、ブランドのこだわりを読んで、カートに進む」

という導線を想定していたとします。

でも実際の動線を見ると、

「SNSからトップページに来たものの、どこを見ればいいかわからず離脱」

となっているかもしれません。

この場合、問題は商品ページではありません。
入口で迷子になっています。

EC改善で怖いのは、ここです。
本当は入口の設計が問題なのに、商品説明を増やしたり、価格を下げたりしてしまう。
それでは、転んでいる場所と手当てしている場所が違います。売れない理由を探すとき、いきなり商品を責めるのは少し早いです。
商品に問題があるのか。
それとも、商品にたどり着くまでの道で迷わせているのか。
この切り分けをしないと、改善はだいたい遠回りになります。

今のECは、ただの「購入ボタン置き場」ではない

昔のECサイトは、どちらかというと「購入する場所」として見られていました。

広告や検索で商品を知る。
比較サイトや口コミで検討する。
最後にECサイトへ来て購入する。

つまり、ECサイトは購買プロセスの終盤にある“レジ”のような存在でした。

でも今は違います。

特にD2CやブランドECでは、SNSでブランドと出会い、投稿の雰囲気に惹かれ、ECサイトで世界観を確認し、そのまま購入へ進む流れも増えています。

この場合、ECサイトは単なる販売ページではありません。

ブランドを理解してもらう場所であり、購入前の不安をほどく場所であり、最後に背中を押す場所です。

ECサイトで大事なのは、検索しやすさや商品詳細の見やすさだけではありません。
特にD2CやブランドECでは、ブランドの世界観をどう伝えるか、購入までの体験をどう心地よく設計するかが、売上に大きく関わります。

言い換えると、ECサイトの体験そのものも商品の一部です。

どれだけ商品が魅力的でも、サイトに入った瞬間に「思っていた感じと違う」と思われたら、その熱は下がります。

SNSでは素敵だったのに、ECに来たら急に事務的。

手続きとしては正しい。
でも、お客様の気持ちは置いていかれます。

SNSから来た人は、商品より先に「納得」を探している

SNS経由のお客様は、検索経由のお客様とは少し違います。

検索経由の人は、すでに「欲しいもの」や比較したい条件がある程度はっきりしていることが多い。
だから、商品名・価格・スペック・レビューなどを確認しやすいことが重要になります。

一方、SNS経由の人は、もう少し感覚的な入口から来ることがあります。

「この雰囲気、好きかも」
「このブランド、なんか気になる」
「この投稿の世界観、いいな」

そう思ってサイトに来る。

つまり、最初からスペック比較だけをしに来ているとは限りません。
まず見ているのは、SNSで感じた期待が、ECサイトでも続いているかです。

ここで世界観が切れると、離脱が起きます。

Instagramでは丁寧な世界観があったのに、ECサイトに入ると商品一覧だけが無機質に並んでいる。
Xではブランドの考え方が伝わっていたのに、サイトに入ったら「送料無料!今すぐ購入!」が前面に出すぎている。

売る気があるのは大事です。
ただ、順番があります。

SNSで生まれた共感を、ECサイトでいきなり刈り取りにいくと、お客様は少し身構えます。

まずは「ここで合っている」と感じてもらう。
そのうえで、商品へ案内する。

導線設計は、売り込みの強さではなく、期待を裏切らずに次へ進んでもらう設計です。

ファーストビューは、ECサイトの玄関ではなく“第一声”

SNSからサイトに来たお客様が、最初に見る画面。
いわゆるファーストビューは、とても重要です。

なぜなら、そこで一瞬にして判断されるからです。

「ここ、見てみたい」
と思われるか。

「ん?違うかも」
と思われるか。

この差は大きいです。

ファーストビューでやるべきことは、ただ綺麗な画像を置くことではありません。
SNSで感じた印象と、ECサイトで受け取る印象をつなぐことです。

具体的には、次の3つが必要です。

1つ目は、ビジュアルの温度感をそろえること
SNSで見た世界観とサイトの見た目がズレていると、お客様の気持ちが止まります。

2つ目は、何のブランドなのか、すぐに伝えること
雰囲気だけで押し切ると、初めて来た人は判断できません。
かっこいいけど、結局何を売っているのかわからない。これはECではかなり危険です。

3つ目は、次に何をすればいいかを示すこと
商品を見るのか、診断するのか、人気商品から選ぶのか、コンセプトを読むのか。
選択肢を出しすぎず、最初の一歩をわかりやすく置く。

ファーストビューは、ただの玄関ではありません。
お客様に対する第一声です。

ここで「いらっしゃいませ」ではなく「で、どれ買います?」になっているサイトは、ちょっと急ぎすぎです。

売れる導線に必要なのは、ボタンの数ではなく“進みやすさ”

導線設計というと、CTAボタンを増やすことだと思われがちです。

「購入はこちら」
「詳しく見る」
「お問い合わせ」
「LINE登録」
「メルマガ登録」
「キャンペーンを見る」

全部大事です。
ただ、全部を同じ熱量で置くと、お客様は迷います。

人は、選択肢が多すぎると動きにくくなります。
ECサイトでも同じです。

大切なのは、ボタンを増やすことではありません。
お客様の状態に合わせて、次の一歩を自然に置くことです。

初めて来た人には、ブランドや商品の理解を深める導線。
すでに購入意欲が高い人には、商品ページやカートへの導線。
過去に買った人には、再購入しやすい導線。

同じ「訪問者」でも、温度はまったく違います。
全員を同じルートに押し込むと、どこかで無理が出ます。

ECサイトは、一本道である必要はありません。
ただし、分かれ道には案内が必要です。

「好きに歩いてください」は自由ではなく、放置になることがあります。
お客様は探検家として来ているわけではありません。買い物に来ています。

リピート購入の負荷は、想像以上に売上を左右する

新規購入の導線は整えているのに、リピート購入の導線が弱いサイトは少なくありません。

これは、かなりもったいないです。

一度買ってくれたお客様は、ブランドを知っています。
商品も体験しています。
あとは「また買いたい」と思った瞬間に、すぐ買える状態を作れるかどうか。

ここで手間が多いと、再購入は止まります。

前回買った商品が見つからない。
定期購入の案内がわかりにくい。
ログイン後に何をすればいいか迷う。
関連商品や詰め替え商品の提案がない。
クーポンやポイントの使い方がわかりにくい。

こういう小さな負荷が、リピートの邪魔をします。

リピート施策というと、メルマガやLINE、クーポンに目が行きがちです。
もちろん、それも大事です。

でも、その前に見るべきなのは、戻ってきた人が買いやすいサイトになっているかです。

「また買いたい」と思った人に、もう一度探させる。
これは、お客様に小さな宿題を出しているようなものです。

宿題が好きな人は、そんなに多くありません。

決済まわりの摩擦は、最後の最後で売上を落とす

商品ページまで来た。
カートにも入れた。
購入意思もある。

それなのに、決済で離脱する。

これはECにおいて、かなり悔しい取りこぼしです。

決済まわりで大切なのは、選択肢と安心感のバランスです。

クレジットカード、ID決済、後払い、銀行振込など、ターゲットに合った決済手段を用意する。
入力項目をできるだけ減らす。
エラー表示をわかりやすくする。
セキュリティ対応をきちんと行い、不安を残さない。

つまり、決済まわりの摩擦をできる限り減らすことが重要です。
完全にゼロにすることは難しくても、迷い・不安・入力の面倒をひとつずつ減らすだけで、購入完了までの進みやすさは変わります。

特に初回購入では、「このサイトで決済して大丈夫か」という感覚も見られています。
決済画面は、ただの処理画面ではありません。
最後の信頼確認です。

ここで不安が出ると、お客様はそっと戻ります。
そして、多くの場合、戻ってきません。

ブラウザの戻るボタンは、EC担当者の心にも刺さります。

導線は作って終わりではなく、動線を見て直すもの

導線設計で大事なのは、最初から完璧を目指しすぎないことです。

もちろん、仮説を持って設計する必要はあります。
ただ、実際にお客様がその通りに動くとは限りません。

だから、公開後は動線を見る。

どのページから入っているのか。
どのページがよく見られているのか。
どこで離脱しているのか。
想定していた購入ルートを通っているのか。
商品ページまでは来ているのに、カートに進んでいないのか。
カートまでは進んでいるのに、決済で止まっているのか。

見るべき場所がわかれば、改善の打ち手も変わります。

入口で離脱しているなら、ファーストビューや訴求の見直し。
商品ページで止まっているなら、情報量・写真・レビュー・不安解消の見直し。
カートで止まっているなら、送料・納期・決済・入力項目の見直し。
購入後に戻ってこないなら、再購入導線や接点設計の見直し。

導線は、運営側の仮説。
動線は、お客様からの返事です。

この返事を見ずに改善するのは、相手の話を聞かずに会議を進めるようなものです。

だから、EC基盤にも“導線を変えられる余白”が必要になる

ここまで見てきたように、ECの導線は一度作って終わりではありません。

SNSの使い方が変わる。
売れ筋商品が変わる。
顧客層が変わる。
キャンペーンの見せ方が変わる。
リピート施策も、ブランドの成長に合わせて変わる。

つまり、ECサイトには改善し続ける前提が必要です。

ここで問題になるのが、システム側の制約です。

「ファーストビューを変えたいけど、テンプレートの制限がある」
「SNS流入向けのLPを作りたいけど、商品・カートとの連携が面倒」
「ブランドごとに世界観を分けたいけど、運用が複雑になる」
「再購入導線を強化したいけど、必要な機能が足せない」

こうなると、改善したいのに動けません。

導線設計の話は、デザインやUIだけの話に見えます。
でも実際には、EC基盤の自由度とも深く関わっています。

ブランドの世界観を表現しやすいこと。
購入導線をシンプルにできること。
リピート購入の負荷を下げられること。
外部サービスやデータ連携を使いながら、改善を続けられること。

このあたりまで考えると、フロント側の表現や導線を変えやすく、外部サービスとも連携しやすいEC基盤が選択肢に入ってきます。

GMOクラウドECのようなヘッドレス構成に対応した基盤は、ブランド体験と購入導線を分けずに設計したい企業にとって、検討しやすい選択肢のひとつです。

単に「商品を並べて売る」だけなら、選択肢はたくさんあります。
でも、ブランド体験から購入、リピートまでをひとつの流れとして設計したいなら、基盤側にもそれを受け止める力が必要です。

売場を変えたいのに、棚が床に溶接されている。
そんな状態では、現場の工夫にも限界があります。

売れないときは、商品より先に“道”を疑ってみる

商品は悪くない。
アクセスもある。
SNSの反応もある。

それでも売れないなら、まず疑うべきは「たどり着き方」です。

お客様は、どこから来ているのか。
来た瞬間に、期待が続いているのか。
次に何をすればいいか、迷わずわかるのか。
商品ページで不安は解消されているのか。
カートや決済で余計な負荷がかかっていないか。
一度買った人が、また買いやすい状態になっているか。

ECは、商品を置けば売れる場所ではありません。
お客様の気持ちが、購入まで冷めないように道を整える場所です。

そして、その道は一度作ったら終わりではなく、実際の動線を見ながら見直していくものです。

売上が伸びないとき、すぐに商品を責めたくなる気持ちはわかります。
でも、商品が悪者とは限りません。

もしかすると、お客様は買いたくなかったのではなく、買うところまでたどり着けなかっただけかもしれません。

EC改善の第一歩は、まずお客様の足元を見ること。
どこで立ち止まり、どこで引き返し、どこで迷っているのか。

そこが見えた瞬間、売上改善は「なんとなくの施策」から「狙って直す仕事」に変わります。

商品を磨くのは大事です。
でも、その商品までちゃんと案内できているか。

ECの売上は、そこから変わります。

※関連リンク:「GMOクラウドEC」公式サイト

この記事の著者

浦川 航平

浦川 航平 URAKAWA Kohei

株式会社 もずくとおはぎ 代表取締役 CEO

長崎県佐世保市出身。 経営者と芸術家。ふたつの顔を持つ男。

家具・プロダクトデザイナーから通販会社のダイレクトマーケッターを経て2012年にウェブ業界へ足を踏み入れ、2023年3月に独立。経営者の道へ。

「右脳」と「左脳」を自由に行き来する独自のスタイルで、戦略的なプロデュースと緻密なマネジメント、そして人の懐にスッと入る柔軟な人柄を武器に、数々のクライアントの本質的課題に切り込み、解決へと導いてきた。

2025年6月、「GMOクラウドEC」エバンジェリストに就任。
GMOメイクショップ株式会社との連携を通じて、EC領域のさらなる可能性を追求している。

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