logo

これは、私たちの頭の中から、技術や知識、芸術や価値観を言葉で編み出すブログです。

お問合せはこちら
メニュー
2026.05.26

ロゴに、意味を宿すということ。

ロゴに、意味を宿すということ。

ロゴをつくるとき、最初に何から考えるか。
形よりも先に、意味を探す。
ブランドの名前や由来、コンセプトの中に眠っているものを、ひとつひとつ掘り起こしていく作業から始まります。

福岡ポテトサラダ465のロゴ制作プロセスを振返ります。

コンセプトから、逆算する

ブランドの世界観はすでにありました。
「今日は、どの色の気分?」という問いかけ。
色を選ぶように、今日のポテトサラダを選ぶ。
食べることが、自分の気持ちと向き合う時間になる。
このストーリーを、シンボルマークひとつで体現しなければなりません。
最初にすることは、形を考えることではなく、意味を読み解くことです。
ブランドが持つキーワードを、一度すべて並べてみます。
色、伝統、食、整える、日常、やさしさ、つながり……。
この中に、形の手がかりが眠っています。

じゃがいもの、正式名称

素材に立ち返りながら、色々と悩んでいました。
そこで浦川が一言。
「じゃがいも。漢字で書くと『馬鈴薯(ばれいしょ)』。鈴とかどう?」
それいいね、となりました。
鈴には、深い意味があります。
神社では神様を招き、邪気を払う。
音を通じて、見えないものと場をつなぐ。
名前に込めると、純粋さや、愛される存在への願いが宿る。
「色で心を整える」というブランドの哲学と、
鈴が持つ「清める・つなぐ・届ける」という役割が、
驚くほど同じ方向を向いていました。
コンセプトの核が、ここに決まりました。

馬鈴薯が、頭から離れない

馬鈴薯にこだわりすぎていたのかもしれません。
馬鈴そのものの形が頭から離れず、それをシンボルとして作成しました。


可愛いし、形状としては悪くない。でも、なんか違う。
その違和感の正体を探っていたとき、気づきました。
色の要素が、どこにもない。
「今日は、どの色の気分?」というブランドなのに、
シンボルの中に色が宿っていない。
頭を悩ませていると、社内から、参考として、色とりどりのドット柄のイメージが出てきました。
そこから頭をリセットして、ドットを起点に鈴の形を模索し直しました。

鈴が生まれる瞬間

ドットを起点に、鈴の形を模索していくうちに、七宝柄が頭に浮かびました。
七宝とは、円が永遠に連鎖する伝統文様です。
円満・調和・ご縁を意味する、縁起のよい柄。
これはいいと思いました。
ドットが連なる構造と、七宝柄が連なる構造は、本質的に同じでした。
さらに、465色という伝統文化のコンセプトとの親和性も高い。
ドットの間隔、七宝の大きさ。

色々と試しながら、その中に鈴っぽい形を見出していきました。
ドットと七宝の掛け合わせで、ようやく鈴の形が完成しました。

465色

シンボルマークができあがったあと、次はビジュアルイメージの制作に取り掛かりました。
ビジュアルイメージとは、ブランドの視覚的印象を形にしたもの。
シンボルマークが「点」だとすると、ビジュアルイメージはそれを取り巻く「面」のようなものです。
465色の世界観を、どう視覚的に表現するか。
色は、日本の伝統色465色の中からダブりなく選定。
配色は偏らず、まんべんなく。
そして、ところどころ七宝を欠けさせました。
完璧に整いすぎると、無機質になる。
余白や不完全さの中にこそ、情緒が宿ると思っているから。
日本の美意識でいう、侘び寂びに近い感覚です。

コンセプトが先にあると、形がぶれない

このロゴのプロセスを振り返ると、順番が大切だったと思います。
ブランドが何を伝えたいのか。
その言葉の中に、どんな意味が眠っているのか。
その意味と、どんな形が共鳴するのか。
この順番で考えると、形の取捨選択に迷いが生まれません。
「これは違う」「これだ」という判断が、コンセプトを軸に下せるようになる。
今回の制作を通じて、改めてそれを実感しました。
コンセプトがしっかりあると、ロゴはぶれない。
形よりも先に、意味を育てること。
その大切さを、この鈴に教えてもらった気がしています。

この記事の著者

原 暢平

原 暢平 HARA Yohei

株式会社 もずくとおはぎ CCO

落ち着いた物腰と柔らかな佇まいの中に、青い炎のような熱を秘めている。

妥協を一切許さない彼のスタンスは、細部にまで理由を宿したデザインを紡ぎ出すため。
その設計へ一貫して注がれる美意識は、まさに職人技。

どこまでも貪欲に高みを目指し、進化していく自分を楽しみながらクリエイティブと向き合っている。

HOMEに戻る