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2026.09.08

「なんとなくいい配色」の正体。

「なんとなくいい配色」の正体。

大事なところを目立たせたくて、あちこちに色を使う。気づけば全部が主張して、いちばん見てほしいところが、かえって埋もれてしまう。そんな経験は、ありませんか。原因は、色そのものではないことが多いんです。

たいていは、色の「使い方」のほう。感覚で選んでいるように見えて、実はそうではない。そう感じる場面がよくあります。「なんとなくいい」は、再現できます。分解して考えられるものです。しかも、その考え方は意外とシンプルです。

この考え方は、デザインをする人だけのものではありません。デザインを頼む人にも、きっと役に立ちます。共通の言葉があるだけで、伝わり方は大きく変わるからです。

色を、3つの軸に分けてみる

色は、ひとつに見えます。でも実際は、「色み」「鮮やかさ」「明るさ」の3つが組み合わさってできています。色相・彩度・明度。たとえば、「もう少し落ち着いた青にしたい」と思ったとき。青を、別の青に変える必要はありません。

青のまま、鮮やかさを少し落とすだけで、印象は大きく変わります。逆に、やわらかくしたいなら、明るさを上げる。つまり、「青を変える」のではなく、青のどこを変えるかを考えるんです。

この視点を持つだけで、「なんか違う」が、少しずつ言葉になります。色の中には、動かせるつまみが3つある。それが見えると、色は「選ぶもの」から「設計するもの」に変わります。

まとまりは、トーンが決めている

不思議に思うことがあります。色をきちんと揃えたつもりなのに、まとまらない。逆に、色みはバラバラなのに、なぜか気持ちいい配色がある。このとき見ているのは、色そのものではありません。彩度と明度を組み合わせた「トーン」が、色の「調子」です。

色みが違っても、調子が揃っていれば、すっと馴染む。色相を揃えても、調子がばらつくと、落ち着かない。赤・青・黄のように色相が離れていても、明度と彩度を揃えれば、ちぐはぐにはなりません。

トリコロールも、そう。色相は大きく離れているのに、ひとつの配色として成り立っています。

反対に、全部を青系でまとめても、トーンが散らばればうるさく感じる。複数の色を使っても散らからないブランドは、たいていトーンが整理されています。

色そのものではなく、色の「調子」を合わせている。まとまりの正体は、たいていそこにあります。

一色から、配色を広げる

たとえば、ブランドの基準になる色がひとつ決まったとします。そこから先は、勘で足していくものではありません。

  • 同じ色相のまま、明度を上げれば背景に使える色に。
  • 彩度を落とせば、文字にも使いやすい色になります。

つまり、一色決まれば、その色を広げていけるんです。さらに、差し色をひとつ加える。それだけで、配色全体にメリハリが生まれます。配色は、「たくさんの色を探すこと」ではありません。一色をどう広げていくか。

その考え方があるだけで、色選びはずっと楽になります。

大事なのは、どこに・どれだけ使うか

「目立たせたいので、差し色を入れましょう」。そう言われることがあります。間違いではありません。ただ、足せばいい、というものではありません。アクセントカラーは、少ない面積だからこそ目立ちます。

広い面に使えば主張は強くなり、小さく使えば視線を集める役割になります。だから、多くの場合は、

  • ベースカラーを広く。
  • アクセントカラーを小さく。

それだけで、自然と視線の流れが生まれます。色は同じでも、面積が変わるだけで役割は変わる。

アクセントカラーは、増やすものではなく、効かせるものなんです。

「なんとなく」を「なぜなら」に

「なんとなくいい。」その感覚は、間違っていません。ただ、その理由を言葉にできるようになると、同じものをもう一度つくれるようになります。

  • 色相、彩度、明度。
  • 彩度と明度がつくるトーン。
  • その色を、どこに、どれだけ。

これだけで、「なんとなく」は少しずつ「なぜなら」に変わっていきます。この考え方は、色を選ぶ人だけのものではありません。頼む人にとっても、同じです。「もう少し彩度を落としたい。」そんな一言だけでも、伝わる精度は大きく変わります。

色は、センスだけで決まるものではありません。感覚を、構造として捉えること。それが、「なんとなく」を「なぜなら」に変える第一歩なんだと思います。

この記事の著者

原 暢平

原 暢平 HARA Yohei

株式会社 もずくとおはぎ CCO

落ち着いた物腰と柔らかな佇まいの中に、青い炎のような熱を秘めている。

妥協を一切許さない彼のスタンスは、細部にまで理由を宿したデザインを紡ぎ出すため。
その設計へ一貫して注がれる美意識は、まさに職人技。

どこまでも貪欲に高みを目指し、進化していく自分を楽しみながらクリエイティブと向き合っている。

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