置き配・ロッカー・郵便局受け取り|“受け取れない”をなくす設計で離脱は減らせるか
注文ボタンの前で、お客様が自分の来週の予定を思い出している。商品の比較は終わった。価格にも納得している。それでも「平日は家にいない」が、購入をためらう理由になっているとしたら。
配送先の住所を入力できても、その場所で無理なく受け取れるとは限りません。住所として正しいことと、生活の中で受け取れることには、隔たりがあります。
その隔たりを埋める動きとして注目したいのが、デジタルアドレスと宅配ロッカーを活用する実証事業です。
11月開始予定の実証が問う、受け取りの選びやすさ
GMOメイクショップ、日本郵便、JPデジタルらによる実証事業が、国土交通省の「物流負荷の低減に向けた多様・柔軟な受取方法の普及促進事業費補助金」に採択されました。2026年8月の発表では、同年11月の開始が予定されています。
全国約7,000箇所に設置されている、Packcity Japanの「PUDOステーション」を活用し、受け取り体験の向上を検証する取り組みです。GMOメイクショップは、「makeshop byGMO」「GMOクラウドEC」で構築されたECサイト上の体験設計・実装を担当します。
住所入力の短縮から、受け取り場所を扱う基盤へ
デジタルアドレスは、ゆうIDに登録した住所と連携する7桁の英数字です。今回の実証では、受け取り場所を共通的に扱う基盤としての有効性や拡張性を検証します。
発表が挙げる課題は二つ。事業者側には、ロッカー受け取り等を導入する際のシステム連携負荷がある。お客様側には、受け取り可能場所が分かりづらいという問題がある。仕組みをつなぐことと、迷わず選べることの両方が求められています。
※現段階は実証であり、正式サービスとしての提供範囲や導入条件は、この発表では示されていません。
「対応しています」を、購入の判断に使える情報へ
置き配なら、在宅時間に合わせずに済む。ロッカーなら、帰宅途中に立ち寄れる。郵便局なら、窓口の取扱時間に合わせて受け取れる。適した方法は、お客様の生活によって変わります。
もちろん、荷物によって使える方法も異なります。日本郵便の既存サービスでも、事前手続きや荷物の種類・サイズ、受け取り先の設備などに条件があります。選択肢は、自社の商品と配送条件に照らして設計する必要があります。
購入後に変更できても、購入前の不安は残る
配送案内の奥に「ロッカー受け取り対応」と書いてあっても、注文画面で選び方が分からなければ、お客様は探し直す必要があります。
購入後の通知で受け取り場所を変更できる仕組みも便利です。ただ、その方法を注文前に知らなければ、「家にいないけれど買って大丈夫だろうか」という迷いは残ります。
受け取り方法の案内も、お客様が「これなら受け取れる」と納得して注文を進めるための情報です。
商品ページで利用可能な方法を案内し、注文画面では候補の場所と利用条件を確認できるようにする。地図上の近さに加え、利用時間や保管期限が分かれば、自分の予定に組み込めます。対象外の商品なら、その理由も選択前に伝えたいところです。

選んだ場所を、出荷まで引き継げるか
画面で受け取り場所を選べても、その情報が受注データから送り状の作成、出荷処理まで正しく引き継がれなければ、運用は成立しません。担当者が注文ごとに確認し、手入力で補う状態では、件数が増えるほど負担も増えます。
EC基盤を検討する際も、表示できる受け取り方法の数だけで判断せず、既存の受注・出荷システムとどう接続するかまで確認する。今回、導入時のシステム連携負荷が課題に挙がっている点は、見逃せません。

再配達と購入のためらいを、同じ設計から減らす
再配達やドライバー不足は物流の課題ですが、受け取りにくさが購入を見送る理由になっているなら、EC事業者にも接点があります。
生活に合う方法を選んでもらうことで、購入へのためらいが減り、初回の配送で受け取りやすくなる。その両立を目指せることに、取り組む意味があります。
ただし、選択肢を並べすぎて注文が複雑になれば逆効果です。今回の発表でも、離脱率の改善効果は示されていません。 導入後は、注文画面の離脱率、各方法の利用率、問い合わせ、把握できる範囲で再配達の状況を確認する。選ばれない方法があれば、需要と表示の分かりやすさを分けて検証します。
購入前に「ここなら受け取れる」と分かり、選んだ場所で荷物を受け取れる。お客様に見える選択肢と、それを支える出荷の仕組みを、一続きで考えることが大切です。
※参照
GMOメイクショップ:デジタルアドレス・PUDOステーションを活用した実証事業
日本郵便:e受取アシスト
日本郵便:はこぽすで受け取る
日本郵便:郵便局で受け取る
日本郵便:指定場所で受け取る
※関連リンク:「GMOクラウドEC」公式サイト



