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2026.04.17

福岡ポテトサラダ465浦川Q&A vol.3【未来編】

福岡ポテトサラダ465浦川Q&A vol.3【未来編】

ここまでで、福岡ポテトサラダ465がどのような思想と設計のもとに成り立っているのか、その輪郭は見えてきました。
単なる飲食でもなく、単なるクリエイティブでもない。
そのあいだにある領域を意図的に設計している事業だということは、なんとなく理解できたと思います。

とはいえ、ここまではあくまで「どうつくっているか」の話。
では、その先で何を起こそうとしているのか。この事業がどこに向かっているのか。

同じ会社にいても、その部分はまだ掴みきれない。むしろ、話を聞けば聞くほど、「ここから先のほうが本題なのではないか」という感覚すら出てきます。

福岡ポテトサラダ465は、この先どこまで広がるのか。この取り組みは会社や社会にどんな変化をもたらそうとしているのか。

最終回となる第3回は、その“先”の話です。

1. 福岡ポテトサラダ465の直近の目標から教えてください。

まずは「触れてもらうこと」です。

具体的には現時点で私たちと接点がある約1500名の方々に実際に食べてもらい、この事業がこれまでのクリエイティブの延長線上にあることを体感してもらいたいと考えています。
同時に、これまで出会ってこなかった一般の方々にも、新しい食体験として受け取ってもらう。この二層に対して同時にアプローチしていくことが、最初のフェーズでは重要です。

理解している人だけに開いても広がらないし、逆に新しいお客様だけを追うと思想が伝わらない。
だからこそ、その両方に対して、同時に触れていく必要がある。

いきなりスケールさせるのではなく、まずは丁寧にこの事業との接点を創り出したい。
そこからしか関係は始まらないので、“触れる”という最初の一歩をどれだけ生み出せるかを直近の目標としています。


2. 最初の1年で、どんな状態までいけたら“立ち上がった”と言えそうですか?

1年というスパンで考えると、正直少し幅が広い感覚があります。もう少し短いスパンで区切ってそれよりも早い段階で、次のフェーズに移行していたい。いつもの私たちのスピード感はこういう場面で活きてくると思っています。

理想としては、WEB・IT・ARTとの接続がより明確になり、事業単体ではなく全体の中で機能している状態になっていること。製造や販売だけでなく、マーケティング、人材獲得、商品開発まで含めて一体として回っている。

さらに言えば、販売の拠点がもう一つ増えているか、もしくはポップアップのような流動的な販売形態が複数動いている状態。
つまり、「ここで成立する」から「どこでも成立する」に移行していることが重要です。

単なる店舗運営ではなく、構造として再現可能な状態に入っているかどうか
そこまで到達して、ようやく“立ち上がった”と言えると思っています。


3. スタート初期に最も重視するのは、売上、認知、リピート、共感のどれですか?

共感です。

売上や認知、リピートは結果としてついてくるものですが、共感は意図して設計しないと生まれません。しかも、この事業の場合は商品単体ではなく構造や思想まで含めて受け取ってもらう必要があるため、単純な消費だけでは成立しない。

そのためには、まず提供する側がその価値に対して熱狂し続ける必要がある。自分たちがいちいち感動しているか、納得しているか。その状態がないと、共感は伝播しない。

共感は“つくるもの”ではなく状態として滲み出るもの

初期フェーズでは数字を追いすぎるとこの状態が崩れる。だからこそ共感にフォーカスし、そこから他の指標が自然に立ち上がる流れをつくることを重視しています。


4. このフェーズで、あえてやらないと決めていることはありますか?

値引きや安売りです。

価格を下げることで一時的に売上をつくることは可能ですが、それは問題の本質的な解決にはなりません。むしろ「売れなかった理由」を考える機会を放棄することになる。

本来やるべきはなぜ売れなかったのかを構造的に捉え直すこと。商品なのか、導線なのか、タイミングなのか、訴求なのか。
そこに対してアイデアを使う。

つまり、問題を価格で解決しないというルールを設けています。

この判断を徹底することで思考停止を防ぎ、事業としての精度を上げていく。短期的な売上よりも中長期での再現性を優先しています。


5. 中長期で見ると、福岡ポテトサラダ465をどんな存在にしていきたいですか?

中長期で目指しているのは、「新しい定番」として定着している状態です。

流行として消費されるのではなく、日常の中に自然に組み込まれている存在。特別な日に選ばれるのも、無意識に選択肢に入ってくるのも。

ポテトサラダという料理自体が、もともと家庭の中にある当たり前のメニューです。だからこそ、その延長線上に位置づけることができれば無理なく浸透していく。
ただしその中身は従来のものとは異なり、安心・納得・循環という価値が内包されている。

さらに重要なのは、働き方としての定着です。短時間で高いパフォーマンスを発揮し、空いた時間を未来への投資に使う。このモデルが特別なものではなく、現実的な選択肢として認識される状態をつくりたい。

つまり、目立つ存在ではなく、気づいたら価値観を更新している存在。それがこの事業の中長期的なポジションです。


6. これは一商品・一店舗で終わる構想ですか。それとも、もっと広がりを持った構想でしょうか?

一店舗や一商品で完結する構想ではありません。ただし単純な多店舗展開とも違います。

ポテトサラダというフォーマットは自由度が高く、素材や製法、提供方法によっていくらでもバリエーションをつくることができる。実際に構想段階でも複数の展開案が出ています。

ただし、重要なのは数を増やすことではなく、構造や思想が崩れずに広がるかどうか

学生支援の仕組み、価値の循環、空間の質。これらが維持されないまま拡張しても意味がありません。むしろブランドの本質が弱くなる。

だからこそ、まずは一つのモデルを高精度で成立させ、その上で再現可能な状態にしてから広げる。

つまり、拡張前提ではあるが、拡張の条件は厳しく設定している。このバランスを崩さずに広がっていく構想です。


7. 地域に根づくブランドになるとは、代表にとってどういう状態ですか?

地域に根づくとは、「あるのが当たり前」になっている状態です。特別な場所として意識されるのではなく、日常の中に自然に存在している。

例えば、誰かと会うときに特に理由もなく選ばれる。ふと立ち寄る場所として機能している。そういった無意識の選択肢に入っていることが重要です。

ただし、それは単なる利便性の話ではありません。その空間の中で人と人の関係が生まれていること。対話があり、紹介があり、次の接点につながる。
消費の場ではなく、関係が生まれる場として機能している状態です。

存在を主張し続ける必要はないけど、なくなると困る。
そのレベルまで入ったときに、初めて地域に根づいたと言えると思っています。


8. 5年後に実現していたらうれしいことは何ですか?

5年後に実現していたら最も嬉しいのは、ここで働いていた学生たちが社会で活躍していることです。

この場所での経験が単なるアルバイトではなく、キャリアの起点として機能している。企業と接点を持ちそのまま就職につながるケースもあれば、ここで培った経験を別のフィールドで活かしているケースもある。

さらに重要なのはその関係が一度きりで終わらないこと。卒業後もつながりが続き、現役の学生に対して機会や情報が還元される。世代をまたいだ循環です。

同時に拠点や関われる人数が増え、この仕組みにアクセスできる人が拡張している。

個人の変化と構造の拡張が同時に成立している状態。これが実現していれば、この事業の価値は明確になっていると思います。


9. 逆に、5年後も変わらず守っていたいことは何ですか?

変わらず守るべきは、「変化し続けること」です。

一見すると矛盾しているように見えますが、環境や前提が変わり続ける中で、同じことをやり続けることの方がリスクになります。固定された価値は、時間とともに相対的に弱くなる。

だからこそ、常に見直し、更新し続ける。必要であればこれまでのやり方を手放すことも含めて判断する。

ただし、その判断の軸は一つに絞っています。それが「自分たちが熱狂できているかどうか」です。外部の評価や数字だけで判断すると、どこかでズレが生じる。でも、自分たちが納得しているか、心が動いているかは誤魔化せない。
変化を前提としながら、変化の判断基準だけは固定する。ここは5年後も変えないと思います。


10. この事業の先に、どんな社会の姿を描いていますか?

大きな理想を掲げるつもりはありませんが、少なくとも「自走する解決手段が増えている社会」をイメージしています。

社会課題に対して特別な意識を持った一部の人だけが関わるのではなく、日常の行動の中で自然に関与できる。
今回の事業で言えば、食という行為がそのまま社会に還元される構造です。

つまり、関わることのハードルが下がっている状態です。

誰かが解決するのではなく、それぞれの場所で小さな仕組みが機能し続ける。その積み重ねが全体に影響を与える。

福岡ポテトサラダ465は、その一つの事例でしかありません。ただ、このモデルが成立すれば、他の領域にも応用できる可能性がある。

その意味で、社会全体の構造に対して、小さくても再現可能な変化をつくることを目指しています。


11. 小さくても確かな変化として、どんな循環が生まれると理想ですか?

理想としているのは、「人が人をつなぎ続ける循環」です。

入口では現役の学生が同じ境遇の後輩を連れてくる。ここで働くことで時間の使い方が変わり、未来への投資ができると実感しているからこそ、その体験を共有する。

出口では企業や大人が次の機会を提供する。就職、プロジェクト参加、ネットワークの紹介など、次のステップにつながる接点が生まれる。

この流れが一方向ではなく、循環していることが重要です。卒業生がまた別の形で関わることで、さらに流れが強くなる。
制度ではなく、人の意思によって回り続ける状態です。

仕組みだけでは持続しない。そこに感情や関係性が乗って初めて循環になる。この状態を小さくても確実に作ることを目指しています。


12. ichirinと飲食事業をどのように連携させるかのイメージがあればお聞かせください。

現時点では空間としての共存が中心ですが、近い未来ではより有機的な関係にしたいと考えています。

アートを見に来た人が食に触れる。
食を目的に来た人が作品に触れる。
どちらか一方が目的でも、結果として両方を体験している状態。

さらに言えば、作品の展示内容や空間の変化が食体験に影響を与えたり、逆に食からインスピレーションを受けた作品が生まれるような関係性。
分野として分けるのではなく、一つの体験として結合することです。

アートと食を横断することで、感覚と論理、感情と体験が自然につながる。その状態をつくることが、連携の本質だと考えています。


13. Web制作事業と飲食事業は、一見遠いですが、どこで接続すると考えていますか?

最も大きい接続点は「実行者になること」です。

これまで私たちはクライアントの事業を支援する立場でしたが、今回は自分たちが主体となって事業を運営する。この違いは非常に大きい。

意思決定のスピード、リスクの取り方、数字の見方。それらを実体験として理解できるようになる。机上ではなくリアルな現場での判断が積み重なる。

この経験は、そのままWEBの設計に反映される。ユーザー導線やコンバージョンの設計も、より実践的なものになる。

つまり、支援する側から、実行する側へポジションが変わることで思考の解像度が上がる

結果として、アウトプットの質が高まる。
ここが最も大きな接続点です。


14. 飲食事業を始めることで、既存のWeb事業や芸術活動に還元できることはありますか?

基本的には前述と同じ構造ですが、もう少し広い視点で捉えています。

自分たちで事業を持つことで、現場の温度や意思決定の重みを実感できるようになる。数字だけでは見えない違和感や、ユーザー行動の微細な変化。それらをリアルに捉えられる。

この蓄積は、WEBにもアートにも還元される。なぜなら、どちらも最終的には「人の体験」を扱っているからです。

さらに異なる領域を横断することで、発想の起点そのものが変わる。既存の枠組みの中では出てこなかったアイデアが生まれる。


領域を跨ぐことで、思考の幅と深さが同時に拡張される。これが最も大きな還元だと考えています。


15. 福岡ポテトサラダ465をきっかけに、もずくとおはぎは今後どんな会社になっていくと思いますか?

より分かりにくい会社になると思います。笑

もずくとおはぎがポテトサラダ???と。字面だけだと渋滞してますよね。

ただ、WEB、IT、アート、飲食。表面的には一貫性がないように見えるかもしれませんが、その奥にある思想は一つです。

人や組織、関係性の状態をどう変えるか。
そこに対して、どの手段を使うかが変わっているだけ。

つまり、手段は拡張し続けるが、目的は変わらない会社です。

一歩踏み込めば理解できるけれど、表面だけでは分からない。奥に本質が潜んでいる状態こそが、クリエイティブの醍醐味だと考えています。

広がりや深まり、柔軟さなど概念を覆し続ける会社で在りたいです。


3回にわたって、福岡ポテトサラダ465の背景から設計、そしてその先の構想までを見てきました。ここまで読んでいただくと、この事業が単なる飲食ではないことは、もう伝わっていると思います。

ただ、これはまだ完成されたものではありません。むしろ、ここからどう変化していくのか、どこまで広がっていくのか。そのプロセス自体がこの事業の本質なのかもしれません。

ポテトサラダというシンプルな入口の中に、どれだけの構造や関係性、そして意思を織り込めるのか。その試みはこれからも続いていきます。

そして気づけば、食という日常の行為が少し違った意味を持ち始めているかもしれません。

この余白に、ぜひあなたも関わってください。

この記事の著者

浦川 航平

浦川 航平 URAKAWA Kohei

株式会社 もずくとおはぎ 代表取締役 CEO

長崎県佐世保市出身。 経営者と芸術家。ふたつの顔を持つ男。

家具・プロダクトデザイナーから通販会社のダイレクトマーケッターを経て2012年にウェブ業界へ足を踏み入れ、2023年3月に独立。経営者の道へ。

「右脳」と「左脳」を自由に行き来する独自のスタイルで、戦略的なプロデュースと緻密なマネジメント、そして人の懐にスッと入る柔軟な人柄を武器に、数々のクライアントの本質的課題に切り込み、解決へと導いてきた。

2025年6月、「GMOクラウドEC」エバンジェリストに就任。
GMOメイクショップ株式会社との連携を通じて、EC領域のさらなる可能性を追求している。

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