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2026.06.25

オムニチャネル・OMO、どこから始める?既存業務を壊さない3ステップ

オムニチャネル・OMO、どこから始める?既存業務を壊さない3ステップ

ECと店舗を両方持っている企業ほど、実は小さな分断が積み重なっています。

ECの会員情報と店舗の会員情報が別々。
ポイントが共通で使えない。
店舗在庫がECに反映されていない。
お客様は同じブランドで買っているつもりなのに、企業側では別々の接点として扱われている。

このズレは、すぐに大きな問題として表面化するわけではありません。

ただ、少しずつ購買機会を逃します。
少しずつ顧客理解を浅くします。
少しずつ「買いにくいブランド」になっていきます。

オムニチャネルやOMOは、この分断を減らしていくための考え方です。

大切なのは、一気にすべてを変えることではありません。
今ある業務を活かしながら、どこからつなぐべきかを見極めることです。

今回は、既存業務を壊さずに、ECと店舗を無理なくつなげていくための3つのステップを整理します。

オムニチャネルとOMOは、むずかしく考えすぎなくていい

まず、言葉の整理からしておきます。

オムニチャネルとは、EC、店舗、アプリなど複数の販売チャネルをつなぎ、どこで接点を持ってもスムーズに買い物ができる状態をつくる考え方です。

たとえば、ECで見た商品を店舗で受け取れる。
店舗で貯めたポイントをECでも使える。
アプリで見た情報が、店舗でも共有されている。

こうした体験が、オムニチャネルの代表的な例です。

一方でOMOは、オンラインとオフラインの境目そのものを意識させず、顧客にとって自然な体験を設計する考え方です。

企業側の都合で「ECはこちら」「店舗はこちら」と分断するのではなく、お客様が動きやすいように接点を設計していく。

言葉にするとややこしくなりますが、要するにこういうことです。

お客様に、余計な不便を感じさせない。

ここが本質です。

いきなり全部やろうとすると、だいたい重くなる

オムニチャネルやOMOの話になると、つい理想形から考えがちです。

会員情報を統合して、ポイントも共通化して、店舗在庫も見えるようにして、アプリも連携して、AIでレコメンドして、購入後のフォローまで自動化して……。

もちろん、できれば強いです。

ただ、最初からそこを目指すと、話が一気に大きくなります。
費用も膨らむ。関係部署も増える。現場調整も重くなる。
気づけば、「いい構想だったけど、結局動かなかった」ということになりがちです。

これはかなりもったいない。

オムニチャネル・OMOは、壮大な未来図を描くことよりも、まず一つ、今の業務に無理なく組み込める改善から始めることが大事です。

順番としては、次の3つが現実的です。

  1. 会員ID・ポイントをつなぐ
  2. 在庫情報と受け取り導線をつなぐ
  3. 顧客データを活かして提案につなげる

順番を間違えないこと。
ここがかなり大事です。

ステップ1:まずは「会員ID・ポイント」をつなぐ

最初に考えたいのは、会員IDやポイントの統合です。

お客様からすると、ECも店舗も同じブランドです。
でも企業側のシステムでは、EC会員と店舗会員が別々に管理されていることがあります。

その結果、こんなことが起こります。

店舗で貯めたポイントがECで使えない。
ECで買った履歴が店舗側ではわからない。
同じお客様なのに、別々のお客様として扱われてしまう。

これは、かなり大きな機会損失です。

お客様からすれば、「同じお店なのに、なんで使えないの?」という感覚になります。
企業側から見ても、顧客の全体像が見えません。

だからこそ、最初の一歩として会員IDやポイントをつなぐことには意味があります。

ここが整うと、ECと店舗をまたいだ購買行動が見えるようになります。

「店舗では買っているけど、ECは使っていない人」
「ECではよく買うけど、店舗には来ていない人」
「特定カテゴリだけを繰り返し買っている人」

こうした顧客の動きが見えてくると、次に何をすべきかも考えやすくなります。

いきなり派手な施策を打つより、まずはお客様を同じお客様として見られる状態にする。
OMOの第一歩としては、かなり堅実です。

ステップ2:店舗在庫を見せて、受け取り導線をつくる

次に考えたいのが、店舗在庫とECの連携です。

ECサイトを見ていて、「在庫あり」と思って店舗に行ったら売り切れていた。
逆に、店舗には在庫があるのに、ECでは在庫なしになっていた。

こうしたズレは、お客様の購買意欲を一気に下げます。

特に今は、買う前にオンラインで確認するのが当たり前になっています。
お客様は、店舗に行く前からかなりの情報を見ています。

だからこそ、EC上で近くの店舗在庫が確認できるだけでも、体験は大きく変わります。

「この店舗に在庫があります」
「店舗で受け取れます」
「取り置きできます」

こうした導線があると、ECと店舗は競合しません。
むしろ、お互いを補完する関係になります。

ECで見つけて、店舗で受け取る。
店舗で見て、ECで再購入する。
近くの店舗に在庫があるから、今日中に買いに行く。

こうした動きが生まれると、購買機会を逃しにくくなります。

もちろん、在庫連携には注意も必要です。
在庫情報の更新タイミング、店舗側のオペレーション、取り置き時のルール設計。
ここを雑にすると、逆にクレームの原因になります。

理想はリアルタイム連携ですが、最初から全店舗・全商品で完璧にやろうとする必要はありません。
対象店舗や対象商品を絞り、在庫更新のルールを明確にするところからでも十分に始められます。

その方が、現場にも負担をかけすぎずに進めやすくなります。

ステップ3:顧客データを「提案」に変える

会員情報がつながり、在庫情報も見えるようになると、ようやくデータを活かす段階に入ります。

ここで大事なのは、データを集めること自体を目的にしないことです。

ECの閲覧履歴。
購入履歴。
店舗での購買履歴。
アプリの行動履歴。
ポイント利用の傾向。

こうした情報は、ただ蓄積しているだけでは売上につながりません。
お客様にとって自然な提案に変えて、はじめて意味を持ちます。

たとえば、いつも同じカテゴリの商品を買っている人に、関連商品を提案する。
店舗で購入した商品の消耗タイミングに合わせて、ECで再購入を案内する。
ECで何度も見ている商品が近隣店舗にあるなら、店舗受け取りを案内する。

こうした提案は、企業側の売り込みというより、お客様にとっての“ちょうどよい案内”になります。

この段階では、レコメンドやメール配信、LINE連携、アプリ通知など、さまざまな施策が考えられます。
さらに進めれば、AIを活用したパーソナライズや需要予測も選択肢に入ってきます。

ただし、ここでも順番が大事です。

データの整備ができていない状態で高度な施策だけ入れても、うまく機能しません。
土台がぐらついたまま上に積むと、だいたい傾きます。ECのピサの斜塔です。見た目は面白いけど、運用は怖い。

まずは、使えるデータを整理する。
次に、誰に・何を・どのタイミングで届けるのかを考える。
そのうえで、必要な機能やツールを選ぶ。

この順番を守るだけで、施策の精度はかなり変わります。

セキュリティと運用ルールは、後回しにしない

顧客データを活用するうえで、忘れてはいけないのがセキュリティと運用ルールです。

会員情報や購買履歴を扱う以上、便利さだけを追いかけるわけにはいきません。

たとえば、EC決済ではEMV 3-Dセキュアなどの不正利用対策が欠かせません。
また、会員情報や購買履歴を店舗・ECで横断的に扱う場合は、アクセス権限やデータ管理ルールの整備も必要です。

店舗とECで情報を共有する場合は、現場がどこまで情報を見られるのかという設計も求められます。

OMOは、顧客体験をよくする取り組みです。
でも、その前提には「安心して使えること」があります。

便利だけど不安。
これは、かなり危うい状態です。

だからこそ、攻めの施策と守りの設計はセットで考える必要があります。

完璧なシステムより、まず動き出せる設計を

オムニチャネルやOMOは、大企業だけが取り組むものではありません。

もちろん、すべてのチャネルやデータを一気に統合しようとすれば、大きな投資が必要になります。
ただ、会員情報やポイント、在庫表示など、範囲を絞った連携から始めることは十分に現実的です。

会員IDやポイントをつなぐ。
店舗在庫を一部だけでも見えるようにする。
顧客データを使って、再購入や関連商品の案内を始める。

こうした小さな改善を積み重ねることで、ECと店舗の距離は少しずつ近づいていきます。

大切なのは、「完璧なシステムを作ること」ではありません。
お客様にとって不便な分断を、ひとつずつ減らしていくことです。

その積み重ねが、結果としてオムニチャネルやOMOにつながっていきます。

OMOは、大きな改革ではなく“小さな接続”から始める

最後に、進め方を整理します。

まずは、会員ID・ポイントの統合。
お客様を同じお客様として見られる状態をつくります。

次に、店舗在庫のEC表示と店舗受け取り。
ECと店舗を分けるのではなく、買いやすい導線としてつなぎます。

そして、顧客データを活かした提案。
集めたデータを、お客様にとって自然な案内に変えていきます。

オムニチャネルやOMOは、言葉だけ見ると大きな話に見えます。
でも実際には、今ある業務やシステムを少しずつつなぎ直していく取り組みです。

オムニチャネルやOMOで最初にやるべきことは、いきなりシステムを入れ替えることではありません。
自社のEC・店舗・会員情報・在庫・顧客データが、どこで分断されているのかを整理することです。

ここを曖昧にしたまま「とりあえずOMOを進めたい」と動き出すと、あとから高確率で苦しくなります。

施策は立派なのに、会員情報がつながっていない。
店舗在庫を見せたいのに、在庫更新ルールが決まっていない。
レコメンドをしたいのに、顧客データがバラバラ。

順番を飛ばすと、だいたい“かっこいい構想”が“重たい宿題”に変わります。

GMOクラウドECでは、既存の業務やシステムを前提に、ECと店舗、会員情報、在庫、顧客データをどうつなぐべきかをご相談いただけます。

「今の仕組みのまま、どこまでOMOに近づけるのか」
「最初に手をつけるべき分断はどこなのか」
「どこから始めれば、現場に無理なく進められるのか」

大がかりな刷新の前に、まずは現状を一緒に見える化してみませんか。

※関連リンク:「GMOクラウドEC」公式サイト

この記事の著者

浦川 航平

浦川 航平 URAKAWA Kohei

株式会社 もずくとおはぎ 代表取締役 CEO

長崎県佐世保市出身。 経営者と芸術家。ふたつの顔を持つ男。

家具・プロダクトデザイナーから通販会社のダイレクトマーケッターを経て2012年にウェブ業界へ足を踏み入れ、2023年3月に独立。経営者の道へ。

「右脳」と「左脳」を自由に行き来する独自のスタイルで、戦略的なプロデュースと緻密なマネジメント、そして人の懐にスッと入る柔軟な人柄を武器に、数々のクライアントの本質的課題に切り込み、解決へと導いてきた。

2025年6月、「GMOクラウドEC」エバンジェリストに就任。
GMOメイクショップ株式会社との連携を通じて、EC領域のさらなる可能性を追求している。

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